流星(流れ星)が特に多く現れる三大流星群のうち、今年最も期待されているペルセウス座流星群の予想ピークが、12日夜に迫っている。毎年起こる流星群の一つだが、今年は深夜以降に月明かりの影響がなく、3年ぶりに観察の好条件となるという。また15日前後に、火星と木星が地上からの見かけ上、極端に接近するのも面白い。天気さえ良ければ気温や安全、マナーに注意し、肉眼で十分楽しめる夏の天体ショーを心に焼き付けたい。
13日未明、流星が最多と予想
国立天文台によると、今年のペルセウス座流星群のピーク「極大」は12日午後11時頃と予想される。同日夜は観察を妨げる月が沈む(札幌9時46分、東京10時13分、那覇11時24分)ため、翌13日未明にかけて条件が良くなる。流星が最も多くなるのは夜明け近く、東京では午前3時台で、空の暗い場所では1時間に40個ほど見られそうだという。前後の数日も好条件で、12、14日の夜明け前には1時間に20個程度などと予想されている。
同じ流星群でも極大の時刻や月明かりなどとの兼ね合いで、年により条件は変わる。ペルセウス座流星群が次に好条件となるのは2029年という。実際にどの程度観察できるかは、場所や気象条件、熟練度、視力などによる。極大予想からずれた時間に、予想外に多く出現することもある。
流星は、宇宙空間の塵(ちり)が地球の大気圏に突入して燃え尽きる際、成分が光って夜空に筋を描く現象。彗星(すいせい=ほうき星)の通り道に多くの塵が帯状に残されており、地球が毎年そこにさしかかる際に大気に飛び込んで、流星が多発する流星群が起こる。つまり、地球が塵の帯を通り、流星群が起こる時期は毎年決まっている。塵を残した天体「母天体」はペルセウス座流星群の場合、スイフト・タットル彗星だ。
一つ一つの流星がいつ、空のどこに出るかは全く予測できない。なるべく空が暗く開けた場所で、肉眼で観察する。問題ない場所なら、シートを敷いて寝転ぶと観察しやすい。流星は突然で一瞬の現象だが、そのはかなさにこそ味わいがある。
光跡の美しい色、正体は
流星群は、基本的に一般的な機材で撮影できる。明るい広角レンズを取り付けた一眼カメラなどを三脚に固定。無限遠、高感度、絞り開放にセットし、露光時間は10~数十秒ほど。カメラ振れを防止する「レリーズ」などを使うと良い。レンズの結露に注意。撮影範囲にいつ流星が出るか分からないので、露出やピント、ノイズをモニターで確認し、設定を調整しつつ“数打ちゃ当たる”式に次々シャッターを切っていくのが良い。撮れたと思ったら、すかさず露光を止めて確認する。
流星を撮影すると、光跡の美しい色を捉えることがある。塵が高速で大気に飛び込み、前面に断熱圧縮による加熱が起こり、その影響で塵の物質がガス化して周囲の大気と衝突し励起状態となり光を放つ。こうして炎色反応が起こり、塵が含む元素を反映した固有の色が現れるとされる。
流星群と火木、同時観察も
流星群とあわせ、地上からの見かけ上、互いに日々接近していく火星と木星にも注目したい。最接近は15日午前零時頃で、この時の両者の距離は、満月の見かけの直径のわずか6割ほど。その後、東の空高く昇っていく2時頃から夜明け前が観察しやすいという。明るさは火星が0.9等、木星がマイナス2.2等で、肉眼で見える。流星群最多予想の13日未明も含め前後数日、それなりに接近している。そこで流星と火、木星が仲良く収まった写真を狙うのもアリだろう。
日付がさかのぼるが、10日は旧暦7月7日にあたり、伝統的七夕(旧七夕)と呼ばれる。伝統的七夕の日は年により変わる。現在の7月7日は例年多くの地域でまだ梅雨が明けていないが、伝統的七夕の夏空なら織姫と彦星を見つけられるかもしれない。ともに1等星で、織姫はこと座のベガ、彦星はわし座のアルタイル。両者をはくちょう座のデネブと結ぶのが、学校でも習う夏の大三角だ。スマホを空に向けると星座や星の位置が分かるアプリが充実し、初心者でも星を探しやすくなっている。
関連リンク
- 国立天文台ほしぞら情報「ペルセウス座流星群が極大(2024年8月)」
- 国立天文台「流星群」