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核燃料サイクルに関する原子力委員会小委報告の読み方

2012.06.06

 原子力委員会の在り方が、毎日新聞の報道がきっかけで関心を集めている。最初に問題にされた小委員会だけでなく、新たな原子力政策大綱について検討している新大綱策定会議でも同じような推進側だけを集めた会合が開かれ、近藤駿介原子力委員長も出席していた事実が明らかにされている。

 原子力委員会は4日、定例会議で、問題の「原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会」がまとめた報告書について議論するとともに、「原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会に係わる作業会合の運営概要について」という内閣府原子力政策担当室名の文書を公表した。

 ここで原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会の会合について次のように説明している。

 目的は、「検討小委の資料準備のための作業連絡」と「資料作成のための課題の整理」、「核燃料サイクル諸量や所用費用の計算手法やデータの提出依頼・確認、資料の記述の技術的正確性の確認」。

 参加機関は、内閣府原子力政策担当室、文部科学省原子力課、経済産業省原子力政策課、同原子力立地・核燃料サイクル産業課、日本原子力研究開発機構、電気事業連合会、日本原燃、その他専門家として電力中央研究所員で、内閣府から各機関に対し、「資料作成作業に必要な担当者の出席を依頼した」としている。各会合に出席した原子力委員の名前も明らかにしており、昨年11月から今年4月まで鈴木達次郎原子力委員長代理(小委員会座長)が出席した会合は21回開かれた。鈴木委員長代理と共に、近藤委員長と残りの委員3人全てが毎回ではないもののそれぞれ複数回参加しているのが分かる。

 会合の様子については「各機関が資料類を作成し、持ち込み、会合において参加者により内容の確認などを行い、会合後は各機関が自ら作成した資料を回収することを原則としていた」としている。会合で参加機関から提出された資料は、小委員会として一部しか受け取っていない、ということだろうか。

 当サイト編集部は、5月28日付レビュー「秘密会議か勉強会かの議論の本質」で、勉強会かそうでないかといったことが本質的な論点ではなく、原子力委員会自体にそもそも核燃料サイクルをどうしたらよいかを検討し、明快な結論を出すような能力があるのか、が問われているのではないか、と指摘した。

 小委員会の報告書「核燃料サイクル政策の選択肢に関する検討結果について」も、原子力委員会が頼りにしているのは結局だれか、を考えながら、読んだ方がよいかもしれない。

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