2011年の貿易収支が31年ぶりの赤字になったのに続き、今年1月の貿易収支も前年同月に比べ1兆4,750億円の赤字となったことが、20日に財務省が発表した貿易統計速報で明らかになった。
東日本大震災の影響で貿易収支が悪化するのは予測されていたことであるが、これらの結果は予想通りなのか、あるいは予想を上回るものなのだろうか。
1月25日に財務省が発表した2011年貿易統計(速報)によると、2011年の貿易収支は2兆4,927億円の赤字となった。前年、2010年は6兆6,347億円の黒字だから、一挙に9兆円もの落ち込みとなる。
財務省は「輸出は自動車、半導体等電子部品などが減少し、対前年比2.7%の減少となり、輸入は原粗油、液化天然ガス(LNG)などが増加し、12.0%の増加となった」ことを2011年の赤字の理由として挙げている。輸入の増加が輸出の減少より収支悪化により大きく影響したことは明らかだ。
福島第一原子力発電所事故により原子力発電の依存率が急低下したことから、火力発電に頼る割合が大きくなるのは避けられない。原油、LNGの輸入量が増え、貿易収支を悪化させることは当然、予想されたことではある。
みずほ総合研究所は「みずほリサーチ」2011年7月号の記事「東日本大震災後の貿易収支を読む」(筆者、経済調査部エコノミスト大塚哲洋氏)の中で、2011年の貿易収支赤字を1兆6,000億円と予測していた。実際には、赤字幅はこれより約9,000億円大きかったことになる。一方、原油とLNGについては、前年に比べ4兆9,000億円輸入が増加すると見込んでいた。現実には大幅な増加には違いないものの、2兆9,000億円増にとどまっている。
これを見る限り、原油とLNGの輸入増より以上に貿易収支悪化に影響したものが大きかったということだろう。この記事には「本当に注意が必要なのは、資源価格の変動などによる短期的な赤字拡大ではなく、今回の地震が長期的に日本企業の輸出競争力の低下をもたらし、貿易赤字が恒常化することである」ということも指摘されていたのだが…。