掲載中のインタビュー記事・唐木英明・日本学術会議副会長「誤解の恐ろしさ - 安全な食品とは」で毎回紹介させていただいている唐木氏の発言が実に面白い。
今日掲載の4回目「信用できないアンケート結果」では、次のような指摘がある。「アンケートというのは、知識の調査」というのだ。食品添加物や残留農薬さらには原子力発電などの安全性を問われた場合、本当は危険だとは思っていないが、素直に答えにくい。こんなにいろいろな人が安全性に疑問を投げかけていることも知らないのか、と思われまいかと心配になり、つい「危険」の方に丸を付けてしまうということだ。
15年ほど前になる。通信社に勤務していた時、社内の文書に似たようなことを書いたことを思い出す。この編集だよりでもだいぶ前に紹介した話だ。統計数理研究所長などを務められた林知己夫氏(故人)の受け売りだったが、その通りだろうなあとすっかり納得したものだ。
林氏の調査法というのは、報道機関や官庁がやるようなものとはだいぶ異なる。原子力を安全と思いますか、危険と思いますか、などといった簡単な設問だけで世論を見るなどということはしない。まず「社会生活を送る上で、一番危険だと感じるものは」という問いを発する。原子力や原発と答えた人はどのくらいいるだろうか。実際に1,500人に尋ねたら15人しかいなかったそうだ。
無論、林氏がこんな結果だけでどうこう判断するはずもなく、しばらく別の質問項目が続いた後、再度、似たような質問をする。具体的な事故や事柄をいくつか挙げて「どれに不安を感じるか」という聞き方だ。
「原発事故」に印をつけた人が、何と53%にも上ったという。
普段は気にしていないが、具体的に聞かれると「不安」と答えたくなるのが、原子力だということがこの2つの質問から分かる。

