松元ヒロの“口演”を「なかのZERO」ホールで初めて聴いた。時事ネタ、社会風刺を得意とするコント集団「ザ・ニュースペーパー」創立メンバーの一人で、現在は単独で活動しているという。
立川談志にかわいがられているというだけに、独特の批判精神がある。テレビでは無理だと思われるネタを含め、最初から最後まで大いに笑わされた。
「オバマ、オバマじゃ…」。原爆死没者慰霊式・平和祈念式、長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典の平和宣言の中で、広島市長、長崎市長がそれぞれオバマ米大統領の核廃絶演説を高く評価していたのをやり玉にあげていた。ついでに言ってみたという感じではあったが、こういう批判は新聞紙面などで見た記憶がない。オバマ大統領の演説が立派か否か、重要か取るに足らないかといえば、大体の人は、立派で注目に値する発言と受け止めているだろう。
しかし、核大国で、広島、長崎市民をひどい目にあわせた国の大統領の発言をそんなに簡単にありがたがっていいの。そんな思いを持つ人は、いないだろうか。もし一定数いるとすると、そうした声を代弁する松元ヒロのような芸能人がいることには十分、価値があるのではないか。そんなことをふと感じた。
核廃絶が並大抵のことで実現するとは思えない。だからといって何も発言しないよりは、折に触れて核の危険や廃絶を叫ぶ責任が普通の日本国民にとりわけある、と思いつつ…。