レビュー

編集だよりー 2009年4月1日編集だより

2009.04.01

小岩井忠道

 自閉症に関する研究成果などを読むたびに、コミュニケーションの重要性と難しさを感じさせられる。いまだに失言する人が絶えないようだが、自閉症は引きこもりなどとは異なり、脳機能障害だ。自閉症患者に特有な遺伝子異常を、理化学研究所脳科学総合研究センターの研究者たちが発見している(2007年3月24日ニュース「自閉症に関連の遺伝子異常発見」)。

 伊藤正男・理化学研究所脳科学総合研究センター特別顧問によると、主要な原因は小脳の育ちが悪いためではないか、ということだ。言葉に異常はなく、記憶力がよく円周率(π)を大変なけたまで覚えていたりする子もいるが、他の子供を見て、何を考えているのか理解できないという気の毒な病気である。理化学研究所では遺伝子操作によって、自閉症のモデルマウスがつくられている。小さなオリに2匹を一緒に入れても、お互い相手に全く関心を示さないという特有の行動を示すそうだ。

 科学コミュニケーターの重要性が叫ばれている。科学を一般の人たちに分かりやすく伝えることは重要だし、相応のスキルを必要とすることからこれを職業とする人たちはこれからますます必要になるだろう。しかし、科学を一般の人々に分かりやすく伝える役割のみを科学コミュニケーターと呼ばれる人たちに期待するとしたら、どうだろうか。そうした一方通行の作業をコミュニケーションとは言わないのではないか。

 編集者が属する科学技術振興機構では、1日から「理解増進部」という部署名が消え、「科学ネットワーク部」に衣替えした。

関連記事

ページトップへ