高校の同級生を見ている限り、人間ができているというか「おとな」が多い職業は、ゼネコンではないかという気がする。一人勝ち、自分さえよければという考え方はよくない。世の中、持ちつ持たれつで成り立っているのだから…。そうした感覚が自然に身につく業界だからだろうか。
この日、茨城県県人会連合会の総会と創立40周年記念パーティが都内で開かれた。知り合いが多いので、まずものを食べている余裕がない。同級生2人とで近くで飲み直そうとなった。橋本昌・茨城県知事も同級生なので声をかけたら「このところ連日遅いので今日はまっすぐ帰る」とのこと。前夜も夜中に帰り夕食を用意していた奥方に相当怒られたらしい。
ということでゼネコンの役員とゼネコンの元幹部と飲むことになったという次第。目下の経済情勢が容易ならざることをあらためて教えられる。意外な共通点があるのを知った。3人とも車を持たないのだ。日本経済の牽引役を長年務めてきた自動車業界の人々には申し訳ないが、マイカーというのは、経済的にもエネルギー消費の面からもぜいたくすぎるというのが一致した意見である。
タクシーの平均乗車人数は運転手も入れて2人ちょっと。都内の平均走行スピードは時速10数キロ。これならエンジン排気量は10ccだか20ccの小さな輸送体で十分(数字は不正確かもしれない)。信じがたいデータを示された。とにかくとんでもない能力過多の輸送機関が少数の客を乗せて、ゆっくりと走っているというのが都心の状況ということらしい。
もう一人の同級生からも、これは負けたという話を聞かされた。マンションに住むようになって暖房器具を使ったのは最初の1、2年だけ。クーラーはあることはあるがほとんど使わない、という。とにかく寒いと感じることもないから必要がない。東京もひところよりだいぶ温かくなっている、というのだ。実は編集者も、暖房・冷房機器を持たない。テレビもあまり見ないから電力を食う器具は、照明器具とパソコン、小さな掃除機くらいである。しかし、これは最近の話だ。
幼児期に母親の実家に泊まりに行って、朝起きたら布団にうっすらと霜がかかっていた、などという話をしあって大いに笑った。幼少時の茨城北部の冬は寒かったのである。
地球温暖化には、一般国民の意識の改革が必要と言われている。3人ともすでにその必要はないということだろうか。問題は持続する経済社会に十分寄与しているかどうかだろう。
もっぱら飲食店だけにお金を使っているだけで…。