温室効果ガスの排出削減では敵役に徹しているように見える米国が、再生可能なエネルギーとして関心が高まっている風力発電には力を入れている−。5月末に公表された米エネルギー省(DOE)の報告書から米国の意外な?姿が見える。
報告書によると、米国の風力発電容量は2006年の1年間で245万キロワット増え(伸び率27%)、2005年に続き世界一の増加量となっている。これはフィラデルフィアの家庭用電力需要をまかなう量に相当する。米国の風力発電のうちで、総発電容量の61%(730万キロワット)分は、ブッシュ政権の2001年以後に建設された。エネルギー安全保障の改善、気候変動への取り組みとして建設が進められている風力は、最も重要で有害廃棄物を出さないエネルギーとなっている…などなど、政府の肩入れぶりがうかがえる。
風力の発電コストは石炭、原子力、天然ガスといった既存の電力方式と同じか安く、競争力を備えている、としており、電力会社の関心も高まっていることを明らかにしている。
報告書が示す世界の状況によると、2006年の年間発電容量の伸びでトップの米国(245万キロワット)に続くのは、ドイツの223万キロワット。続いてインド184万キロワット、スペイン158万キロワット、中国133万キロワット、フランス81万キロワット、カナダ77万キロワット、英国63万キロワット、ポルトガル62万キロワット、イタリア41万キロワットとなっている。
2006年末時点の総発電容量で比較すると、トップがドイツ(2,065万キロワット)、2位がスペイン(1,161万キロワット)、3位が米国(1,157万キロワット)。以下インド(622万キロワット)、デンマーク(310万キロワット)、中国(258万キロワット)、イタリア(211万キロワット)、英国(196万キロワット)、ポルトガル(171万キロワット)、フランス(158万キロワット)の順となっている。
ちなみに、2006年末時点の世界全体の風力発電容量は、7,424万キロワット。2006年の増加量は、1,501万キロワットとなっている。
関連リンク
- 米エネルギー省のプレスリリース