「カンボシア・アフガニスタンから考える復興と平和」と題する講演会を傍聴した。
講師は、共同通信のサイゴン支局長やワシントン支局長も務めたことがある金子敦郎・元大阪国際大学学長と、特定非営利活動法人、日本国際ボランティアセンター代表理事の谷山博史氏だった。
カンボジアは、大混乱の時期を経て、一応、安定した状態にあるそうだが、1人あたりの年間所得が320ドルしかない、という金子氏の話に驚く。1人あたりの所得が350ドル以下の国は、最貧国(第4世界)と呼ばれるということも初めて知ったが、世界中に40〜50カ国もあるという最貧国の一つにカンボシアも入っているわけだ。長年の内戦による後遺症は、やはり相当大きいということだろう。
一方、谷山氏によると、アフガニスタンでは、日本国際ボランティアセンターの派遣者が復興支援のボランティア活動をしているが、自爆テロなどが相次ぎ、米軍やNATO軍は、誰が敵なのか分からない泥沼のような戦闘に巻き込まれているという。米軍などの思惑に反し、反政府勢力「タリバン」の支配力が、むしろ拡大しているそうだ。
この講演会の主催者は、カンボジア教育支援基金(代表・阿木幸男氏)である。講演会のあと、講師を囲んでの懇談会で、やっとほっとするような話を聞くことができた。
実は、カンボジア教育支援基金についてもこれまで何も知らなかった。カンボジアで取材経験のある共同通信記者らが中心になって1993年に創設され、カンボシアにこれまで5校の小中学校校舎を建設し、子どもたちの教育支援という形で、復興を手助けしているという。
支援を始めてしばらくして、校舎を建ててみたものの先生が毎日、学校に来られないという現実に気づく。教師の給料だけでは家族を養えないので、副業をせざるを得ないためだった。そこで、1998年に設立した「カンボシア日本友好学園」では、建物の維持、運営だけでなく教師の給料支援も加えた。
教師に対する支援額は、月2,300円。さらに生徒へも年6,000円の奨学金を支給している。働かなければならないため、毎日、学校へ通えない子どもが少なくないからだそうだ。
日本の感覚からすると高額とはいえないが、なにせ国民の平均所得が320ドルという最貧国だから、現地の人たちにとってはありがたい額に違いない。
いろいろなNPOやNGOが、いろいろなところで、それぞれ立派な活動をしている。わが身のボランティア精神の希薄さを、あらためて感じさせられる夜だった。