レビュー

編集だよりー 2007年1月10日編集だより

2007.01.10

小岩井忠道

 静岡大学学長に4月1日付で就任することが決まっている、興(おき)直孝氏に、科学技術振興機構、新技術協会主催の新春科学技術交流会(「ハイライト」・相澤益男氏参照)で顔を合わせ、しばし立ち話をした。

 興氏は、かつて編集者にとって重要な取材相手だっただけでなく、“雀敵”でもあった人である。ふたりとも若かったころ、深夜まで麻雀をやっては(仕事の合間を縫ってである。念のため)、いつも手ひどくやられた。

 麻雀から、ほとんど足を洗えたのは氏のおかげである。「麻雀を覚えたのは役所に入ってから」と言われて、悟った。中学時代から麻雀牌を握って来た人間として、「現代麻雀に、もはや出番なし」と。

 さて、新春科学技術交流会で、興・新学長と交わした建設的な話である。

 「大学の広報体制を手始めに何とかしないと」という話題になった。静岡大学に限ったことではないが、各大学のウェブサイトでほぼ共通に見劣りするのが、研究成果のPRである。

 一昔前なら、だれも文句など言わなかっただろう。しかし、研究成果は積極的に国民に公表して、科学技術に対する国民の理解、支持を得ることに努めなければならない。そんな時代である。

 「研究機関・研究者等は研究活動を社会・国民にできる限り開示し、研究内容や成果を社会に対して分かりやすく説明することをその基本的責務と位置付ける。その際、多様な媒体を効果的・効率的に活用する」

 第3期科学技術基本計画にも、そう明記されている。

 「どこそこの新聞に○○教授の研究成果が紹介されました」といった短い引用記事が、たまに載っているようでは、大学のホームページとしては寂しい。

 新聞や放送で紹介された科学ニュースの賞味期限は、よほどのニュースでない限り、だいたいが1日と考えたほうがよい。ニュースを見聞きした人が、すぐさまその研究者の属する大学のホームページのニュース・トピックス欄にアクセスする。そこで新聞記事や放送ニュースで報じられた研究成果の内容が、さらに詳しくわかる「ニュースリリース」を見つける、としたらどうだろうか。

 その研究テーマ、研究領域に対する関心、興味は無論のこと、その研究者と、研究者が属する大学に対する関心もさらに高まるのは間違いない。

 「大学の広報体制を変えるなら、やはりメディア経験者の知恵を借りるのが、近道ではないか」。短い時間の立ち話であったが、新学長とは、この点でも意見が一致した、と思っている。

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