レビュー

編集だよりー 2007年1月9日編集だより

2007.01.09

小岩井忠道

 バスケットボール全日本総合選手権最終日(8日)の男子決勝戦を、テレビ観戦した。

 スポーツの楽しさ、あるいは大げさに言えば神髄、といったものは文字では表現できない、と思っている。だが、バスケットボールだけは別だ。あれこれ言いたくなる。

 この決勝戦の感想を言うと「つまらない試合」ということだ。

 勝者と敗者の点差がこれほど開いたのは、全日本の決勝戦としては初めてだそうだが、大敗したチームの監督は、昨年のアジア大会で日本代表チームを指揮している。北京オリンピックの予選も、この監督で行くのだろう。

 東京大学学長や理化学研究所理事長を務めた(文部大臣や科学技術庁長官も)有馬朗人氏が、「常々、東京大学総長(学長)は外国人がやった方がよいと思っていた」と、「日経サイエンス」2月号で語っているのを、思い出した。

 圧勝した優勝チームの監督は外国人だからである。それも今季から指揮を執り始めたばかりの。

 「日本の大学を国際化するには、東京大学の学長を外国人にするくらいでないと駄目」。黒川清・日本学術会議前会長(現・内閣特別顧問)も、確かどこかでそう言っていた。

 翌朝、優勝チームをたたえるだけの新聞記事が目につく中で、日経新聞の署名入り記事(串田孝義記者)が読ませた。

 「前日本代表監督のパブリセビッチ氏によって鍛えられた23歳の桜井、山田(25)ら“チルドレン”は、ボールを持つとまずゴールを目指す。チーム戦術に埋没しない世界基準で鍛えた攻撃的プレーが、今季就任した外国人監督によって生かされたのも幸運だった…」

 日本代表チームのバスケットボールが、外国人監督によってせっかく国際化しかけたのに、その監督を“解任”したのはどうだったか? そんな思いが、行間から伺える。

 同感だ。(日経新聞の引用は東京版から)

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