レビュー

編集だよりー 2006年11月4日編集だより

2006.11.04

小泉成史

 日本経済新聞の人気コラム「私の履歴書」50周年シンポジウムが横浜で開かれたので聞きに行った。熱心な読者ではないが、日経を読むときはここから読む。もっとも渡辺惇一氏の連載がある時は順番が狂う。「愛ルケ」と科学者・石坂公成氏の「履歴書」とを続けて読んで朝から頭がおかしくなりそうになったこともあった。

 シンポの司会者によると、今までに、このコラムに登場した人は600人以上にのぼるが女性は僅か18人。第一回登場が鈴木茂三郎・社会党委員長(当時)というのも意外だ。全体として「昭和史の貴重な資料」には違いない。

 シンポは2時間にわたり、「履歴書」に登場した政治家、財界人の裏話など興味深い話が次々と出てきたが、科学者・技術者、スポーツ選手、文化人の話題がほとんどゼロだったのが不満。

 ここ数年でのマイ・ベスト1は元・西鉄ライオンズ投手の稲尾和久氏の回だ。

 シンポを聞いたのを機会に自宅の本を整理した。数年前、当時勤めていたテレビ局が移転する際、図書館を縮小するので在庫本を自由に持っていって良いといわれた。科学技術関連と自伝・評伝を中心に段ボール数箱分の本を回収し、宅送しておいたのが物置に入れたまんま未整理だったのだ。

 箱の中から竹中労著「美空ひばり」、棟方志功自伝「板極道」など、なかなか入手しにくい名作が出てきてニンマリ。問題はどうやって読む時間を作るかだ。

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