レビュー

編集だよりー 2006年10月23日編集だより

2006.10.23

小泉成史

 ジェームズ・ラブロック氏から話を聞く機会があった。氏は地球を1個の巨大なシステムと考える「ガイア仮説」の提唱者として知られる。
10年以上前に単独インタビューした時に比べ、かなりお年をめされた印象で別人かと思ったほどだ。87歳だから当たり前か。

 氏の話はごく簡単にまとめれば、二酸化炭素増加により地球温暖化はもう不可避なのだから、それに適用することを考える方が現実的だということ。

 印象に残った言葉を拾うと、
「京都議定書は第二次大戦前のミュンヘン協定のようなもの。政治的妥協の産物で科学的ではない」
 ミュンヘン協定は世界大戦を防ごうと英仏伊がチェコを犠牲にしてナチス・ドイツと結んだが、結局、ヒトラーを増長させてしまった、あの協定。

 ラブロック氏は原子力エネルギーの賛同者としても知られている。
「宇宙のエネルギーはすべて原子力。地球だけ化石燃料を燃やしてエネルギーを得ている方がよっぽど不自然」

 以前、いただいた名刺の肩書きは
「Independent Scientist」(独立科学者)とあったが
 今回は
「Scientist Author Inventor」(科学者 著作者 発明家)となっていた。

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