公立小学校の児童が教師に振るった暴力に関する文部科学省の実態調査結果が、13日公表された。日本の子供たちの置かれた状況は、普通の大人たちが想像する以上に悪化しているのではないか。このニュースに、あらためて考え込んだ人は多いのではないだろうか。
15日朝刊の社説で、朝日、毎日、読売の3紙がそろって、この問題を取り上げていた。ただし、その内容はそれぞれだ。
「現行の教育制度を、地方分権をより進める形で抜本的に見直す必要があるのではないか」と毎日新聞の社説は言っている。国の権限を強めるだけでは解決しない、などといった、教育制度に関する指摘、主張が主になっている。
これに対し、読売新聞は、「早期に、学校全体で対応すべき問題だろう」と指摘しつつ、「過度の暴力や、他の児童の学習権まで奪うようなケースなら、教室からの"強制退席"もやむを得ないだろう」と、学校の責任にも限りがあることを、むしろ強調していた。毎日新聞の社説にはない「親の務め」についても、触れている。
「親の責任は重い。子供が不満をため込み、それを抑えきれないというのは、その家庭に問題があると考えざるをえない」という朝日新聞の社説が、家庭の責任にもっとも明快に踏み込んでいた。
子供の問題は、日本学術会議でも深刻にとらえられ始められている(2006年8月8日ニュース参照)4日に開かれた同会議主催のシンポジウム「子どもを元気にする環境とは」でも、子供を取り巻く生活環境の悪化が、さまざまな角度から報告された。教育制度をいじるだけで解決するような問題ではない、というのが、参加者たちの多くに共通する危機意識のようにみえた。