震源に近い観測点で地震発生をキャッチしたらすぐに速報するサービスを、気象庁が8月1日から始めている(2006年7月28日ニュース参照)。この最初の「緊急地震速報」が、防災の日の前日の8月31日夕、東京湾を震源とする地震発生時に、気象庁から発信された。
地震が起きるとまず弱い揺れが伝わり、追いかけるように強い揺れが襲ってくる。震源から遠いほど、弱い揺れと強い揺れがやって来る時間差が大きい。最初の弱い揺れを震源にもっとも近い観測点で観測するやいなや、震源や地震の大きさの推定値を速報することによって、次の強い揺れが来るわずかの間に必要最小限の対応をとってもらう。
これが、気象庁の新しいシステムの狙いである。
ただし、現在、この「緊急地震情報」を受け取れるのは、鉄道、建設・製造、通信・情報伝達、医療・サービス業など、受信を希望したところに限られている。「国民一般に広げるには十分な信頼性が確認できていないのでまだ無理」。そんな気象庁の姿勢を反映してか、各新聞の扱いも割れた。
「首都圏グラリその時速報『成功』 震度4初発信『猶予』10-15秒できた」。初めての「緊急地震速報」の結果に、計画に合格点を与えた東京新聞の見出しである。
全国紙は、通常の地震発生を伝える記事スタイルの中で、緊急地震速報についても書き加えるという伝え方だったが、読売新聞だけは4段見出しではっきりと及第点。「グラリ15秒前震度ピタリ 気象庁の速報的中」。
朝日、産経、日経、毎日の各紙は、震源の真上に当たる都心でも大きな揺れが来る2-3秒前、横浜市付近で5秒前に「緊急地震速報」が出された、などと触れてはいたものの、評価は差し控える、といった書きぶりだった。(引用は各紙9月1日朝刊東京版から)