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湖沼の水質改善には面源負荷対策が必要

2006.07.28

 海や河川に比べ遅れている湖沼の水質改善には、農地や森林、市街地などから汚濁物質の流出を防ぐ新たな取り組みが必要、とする報告書が26日、公表された。国土交通省、農水省、林野庁、環境省がまとめた。

 全国紙の東京版では目に付かなかったが、共同通信の配信を載せた地方紙ウェブサイトで要点が報じられていた。

 湖沼は河川や海域に比べ、汚濁物質が蓄積しやすい。湖沼水質保全特別措置法(湖沼法)で、琵琶湖、霞ヶ浦など全国で10の湖沼が指定湖沼に指定され、さまざまな水質保全策が講じられている。自治体だけにまかせず、最近はNPOなどの積極的な取り組みも目立つ。

 しかし、汚れた湖や沼をきれいにするのは、容易ではない。

 報告書によると、河川、海域の環境基準達成率は、それぞれ89.8%、75.5%まで上昇しているのに、湖沼に関してはまだ50.9%(いずれも2004年度)でしかない。

 湖沼の水質改善は、工場などの特定排出源だけの対策では不十分。汚濁物質の排出ポイントが特定しにくい地域全体から、汚染原因を減らす「面源負荷対策」が必要、と報告書は指摘している。

 では、新たに必要とされた面源負荷対策とはなにか。

 農地や市街地から流出する汚濁対策が必要な地域を指定し、水質浄化機能を確保するため、水質の保全のために特に保護が必要な地域を指定する。具体的にはヨシ原など植生を利用した浄化施設の設置など、さまざまな対策の例が示されている。

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