レビュー

日本の算数教科書、海外で評判だが

2006.07.21

 日本の算数教科書を英訳したものが、米国など海外の教室で使われている。

 読売新聞の19日朝刊くらし教育面にこんな記事(長谷川聖治記者)が載っていた。

 「今年4月、小学校算数で市場占有率トップの『東京書籍』が2000年版の教科書『新しい算数』を英訳した」。これが、「発売以降、米国などで使われ出している」という。

 「今回の翻訳に携わった米デポール大学の高橋昭彦・助教授は、米国の教師らに数学教育の改善法を指導しているが、『日本の算数教科書は薄くても内容が充実している。そのレベルの高さに、米国の高校の先生も感心する』という」

 ところで国内に目を向けると最近、数学に関する芳しいニュースはない。18日に都内で開かれた「中国総合研究センターオープニング記念シンポジウム」で、文部科学省科学技術政策研究所の桑原輝隆・総務研究官が次のような報告をした。

 主要国で発表された研究論文数を比較すると、日本は、材料科学や物理学、化学の論文数で、各国をしのいでいるのに対し、計算機科学・数学は、環境生態学・地球科学などとともに劣っているという結果になっている…。

 数学研究の停滞は数学者自身が危機感を抱いており、5月に開かれた日本学術会議主催のシンポジウム「「礎(いしずえ)の学問・数学」では、数学者を取り巻く厳しい研究環境についてさまざまな報告がなされた。シンポジウムのまとめとして「諸科学・産業技術研究者と数学研究者が連携し、数学研究の活性化を目指すことが必要」という提言が公表されている。

 さて、小学校の算数教科書に関する読売新聞の記事には、もうひとつ気になることが書いてある。米国で人気の教科書は「学習内容が3割減った現行の学習指導要領を導入する前の教科書」という事実だ。

 「評価されるのは小学校の算数まで」それも「内容が3割削られる前の旧指導要領のもの」という高橋助教授の指摘で記事は終わっている。(読売新聞の引用は東京版から)

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