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近年、加齢に伴い起きてくる病気として「認知症」が問題になってきています。高齢化社会へと向かっている日本にとって、認知症は社会的な問題として注目されています。「認知症」という単語は、おそらくみなさん一度は耳にしたことがあるでしょう。ですが、認知症について正確に理解している人が少ないのが事実のようです。例えばよく耳にする「アルツハイマー病」ですが、「認知症」=「アルツハイマー病」と思っていませんか?
アルツハイマー病は認知症の1つではありますが、「認知症」=「アルツハイマー病」ではありません。現在のところ認知症において約5割程度と最も高い割合を占めるのがアルツハイマー病です。そのためか「認知症」=「アルツハイマー病」と誤解している人が多いのでしょう。
本書を読むと「認知症」と一言でいっても、いろいろな種類の認知症があることが分かります。そして、重要なのは認知症状を呈する病気の中には治療可能なものもあるという点です。本書では社会的関心が強いアルツハイマー病について多くのページを使って解説し、その他「レビー小体型認知症」、「前頭側頭葉変性症」、「脳血管性認知症」、「若年性認知症」についての解説がされています。
それらの認知症についての基礎的知識が書かれているだけでなく、治療法や認知症を発症した人への対処法についても書かれています。若干、専門的な内容にはなっていますが、その分、最前線の認知症研究の話題も多く扱っており、科学的根拠も含めた解説がされています。
認知症において、今、何が分かっていて何が分かっていないのか、認知症研究の分野においてどのような論争が繰り広げられているのかなど、認知症の全体像を知りたい方にはオススメの一冊です。