レポート

科学のおすすめ本ー みんなが知りたい南極・北極の疑問50

2011.01.31

立田由里子 / 推薦者/SciencePortal特派員

みんなが知りたい南極・北極の疑問50
 ISBN: 978-4-7973-6001-1
 定 価: 952円+税
 著 者: 神沼克伊 氏
 発 行: ソフトバンククリエイティブ
 頁: 222頁
 発売日: 2010年10月25日

日本列島にもっとも寒い季節がやってきています。日本海側では大雪に見舞われていると連日のように報道されています。本書はそんな寒さのまさに極致である極地、南極と北極について書かれた本です。「極地」という言葉でひとくくりに表現されることも多い「南極」と「北極」。そのため似たようなものだと思っていませんか?

さて、南極と北極。ではどちらの方が寒いと思われますか? なんとなく北の方が寒いような気がします。でも、実は南極の方が寒いのです。なぜ南極の方が北極に比べ寒いのか。それにはきちんと理由があり、本書で分かりやすく解説してくれています。ヒントは「陸」と「海」です。

また、動植物相。こちらもずいぶんと異なっています。北極の方が南極に比べはるかに豊かな動植物が生息しているのです。このように同じ極地でも南極と北極では異なる点も多くあります。

また、本書では上述のような南極と北極の違いについて解説しているだけでなく、自然現象としてのオゾンホール、オーロラの話をはじめ、地球の歴史を知る手がかりとなる氷床の調査?解析や基地の話など、極地におけるさまざまな話が盛り込まれています。興味深いのは、南極にはあの氷の下に「氷床湖」と呼ばれる湖が存在している可能性が確実視されているというお話です。何千メートルもの厚さのある氷の下に水の層があるかもしれない…。その世界はいったいどんなものなのでしょう。思いを巡らせるだけで、地球に流れる途方もない時の流れを感じ、この世界の広さに胸がふるえます。

現代において、まだ、ひっそりと人類に知られることなく営みを続けているかもしれない場所があるというのは冒険家でなくても心ふるえる話です。

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