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さきがけものがたりー 人がより創造的になるための情報技術(中小路久美代 氏 / 東京大学 先端科学技術研究センター 特任教授)

2007.03.16

中小路久美代 氏 / 東京大学 先端科学技術研究センター 特任教授

中小路久美代 氏(東京大学 先端科学技術研究センター 特任教授)
中小路久美代 氏(東京大学 先端科学技術研究センター 特任教授)

 ヒューマン・コンピュータ・インタラクションの研究者である中小路久美代は、さきがけ「情報と知」「協調と制御」に採択され、着実に成果を残しつつある。また、二度のさきがけ研究を通して築いた人とのつながりを活かし、共同研究に結びつけている。

 2006年4月、中小路はコロラド大学からDistinguish Engineering Alumni Award(DEAA)という賞を授与された。この賞は、コロラド大学が、工学理学系の卒業生の中から顕著な業績のあったものに対して与えるものである。情報系からの初の受賞者、日本人としても初の受賞者となる。

 中小路は、この賞の審査のために自らの研究業績を報告した際に、さきがけの研究者として採択されたことは、米国においてNSF(National Science Foundation、全米科学財団)によるFaculty Early Career Development Program(CAREER)と同等以上の価値があると見なしてもらえたという。

 この賞は、博士号を取得した若手研究者にNSFが与える研究補助金であり、米国ではこの研究支援を得ることは大変名誉なこととされている。中小路はあらためて、「情報と知」の採択時に安西祐一郎(現・慶応義塾塾長)研究総括からいわれた言葉を思い返している。

 さきがけは、「研究費の支援というだけでなく、採択されたことを誇りに感じ、研究者としての自信を与えてくれたもの」だと。

 「いつまでも自分で考え,自分で論文を書ける研究者でいたい」と生き生きと語る中小路。今後の研究の発展が楽しみである。

(科学技術振興機構 原田千夏子)

・「さきがけものがたり-未来を拓く研究者たちのドラマとその舞台」(アドスリー発行、丸善 販売)から要約転載)

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