インタビュー

第6回「脳の活動と時間管理 朝型生活そして朝食が大切な理由は」(川島隆太 氏 / 東北大学 加齢医学研究所 教授)

2006.07.11

川島隆太 氏 / 東北大学 加齢医学研究所 教授

「道を拓く 脳のメカニズムに迫る」

川島隆太 氏
川島隆太 氏

脳の研究成果をもとにしたゲームの監修などでおなじみの川島隆太東北大学教授を迎え、脳のメカニズムに迫ります。

朝型と夜型生活の効率の違いは?
そして脳の活動に影響を与える朝食の効用は?脳を有効に使う川島教授の時間管理法とは。

—川島教授の時間管理法は?

子どもの頃から妄想が大好きだったものですから、特に寝る前なんかはいろんなことを考えることもしています。
あとは忙しい中で、僕自身、ものすごくやることが一杯あるので、まずやるべきリストをつくってしまって、リストをチャッチャッとやりおえていって、やろうと思ったところまで終わったら手を出さない。
あとは自分なりの時間をつくる。殻をつくって、自分の周りから攻めてくる仕事をシャットアウトした上で「自分はここまでやったから、あとは自分なりの時間をつくる」というメリハリを意識してつくっています。

—平均的な1日のスケジュールを教えてください。

これは季節によって多少変動があるんですけど、大体5時半~6時くらいの間には起きて、ご飯を食べて、7時くらいには大学に出てきます。
それから2時間くらいは電話もかかってきませんから、論文を書いたり、読んだり、自分なりの仕事をして、それから学生たちが出てきたり、いろんな人たちが来るようになってビジネスミーティングを繰り返しながら夕方まで仕事をする。
その後はやることがある時は仕事をしますし、学生の面倒を見ないといけない時は面倒を見る。仕事がきり上がれば家にポッと帰っちゃうということもよくあります。
ただ家にポッと帰っても「ああ、あれしなきゃ」ということを思い出したり、学生からヘルプのメールが入ってきた時は、また大学にさっと戻ってくるという生活をしていて、大体、夜は11時、12時には寝るようにしています。

—脳科学研究からみた朝型、夜型について教えてください。

前は僕、夜型だったんですね。なぜ朝型に変わったかと言うと、留学してから変わりました。
これはローランド先生の教えで未だに守っているんですけども「学者は朝、仕事をしろ」と強く言われたんですね。
朝の2時間は外から妨害が何も入らないので、夜の4時間、5時間に相当する。「朝、論文を読み、論文を書け」と言われたことを頑に守ってきました。

今、人間の脳の働きを調べていくと実にこれがリーズナブルだということがわかってきまして、どうも私たちの脳にはリズムがあるということが見えてきました。
それは午前中に一番よく働く。それから夕方に向かってどんどん機能が低下していくことが見えてきました。
これをウソだと思われる方は、たとえば計算問題100問用意して、それを何分で解けるか計ってみてもらうと驚かれると思うんですよ。
午前中にやった時と、夜、やった時で、ものすごく能力に差が出てくるんですね。
ここからも明らかなように「脳を使うなら午前中だ」と私自身は経験と脳のデータから考えています。

—睡眠との関係性は?

休息の関係も当然あると思うんですけれども、生体はリズムがあるんですね。
陽がある時に活動して、暗くなったら寝るという、昔から持っている動物としての固有のリズムがあって、これから逃れることはできないんですよ。
もちろん時差ぼけを解消できるように違う地球の裏側に行けば、そちらのリズムに合うんですけど、これはお日様の力がいるんですね。 あくまで私たち、動物ですから、そのリズムから逃れることはできないということは真理だろうと信じています。

—無駄のない時間の使い方と朝食の重要性について

午前中に一番脳がよく働くということが見えてきましたから、子どもたちで言えば、土日をどう過ごしているかは重要だと思います。
昼まで寝て、午後、もそもそ起き出す、夜、勉強するというのは時間の無駄遣いです。
やはり午前中に集中し学習を行って、後はゆったりと過ごすという生活をしないと、折角、24時間しかない時間で、我々が活動できる時間は正味12時間程度しかないんですから、時間が無駄になって仕方がないんだろうなと考えます。

朝食というのは我々の脳にとって非常に重要でして、私たちの脳の細胞はぶどう糖だけを栄養にして働くことができるんですね。
ぶどう糖は、でんぷん質をとらないと血液中に供給されませんから、朝ご飯を食べないでいるとどうなるか。私たちの脳がガソリン欠乏のままむりに働こうという状態がつくり出されてしまいます。
実際に教壇に立たれると朝子どもたちがご飯食べてきたかどうか、一目でわかるんですよ。食べてない子どもたちの眼はドロンとしていて集中できないでいるんですね。
これは脳が働かないからです。朝ご飯だけはきちっと食べないと、午前中の作業、折角、脳がたくさん働く午前中が全部無駄になると考えています。

たとえば会社で働いている人も、朝、食べないで、会社に行って、午前中、調子悪く過ごし、午後、「少し調子が出てきたぞ」「自分が一番頑張れるのは夜だ」という人は実はたとえば僕が会社の経営者であれば、一番最初にクビきりをするタイプです。
物凄く人生の無駄遣いをしていて、能力の無駄遣いをしていて、会社として同じ給料を払っていてもパフォーマンスは半分の人だと僕は思ってしまうんです。

(続く)

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