インタビュー

第2回「川島流子育て 一般人も興味がある川島家のしつけ法は…」(川島隆太 氏 / 東北大学 加齢医学研究所 教授)

2006.06.13

川島隆太 氏 / 東北大学 加齢医学研究所 教授

「道を拓く 脳のメカニズムに迫る」

川島隆太 氏
川島隆太 氏

脳の研究成果をもとにしたゲームの監修などでおなじみの川島隆太東北大学教授を迎え、脳のメカニズムに迫ります。

大学生から中学生まで4人の男の子のお父さんでもある、川島隆太教授。ご家庭でのしつけ法に、はたして脳の研究は活かされているのでしょうか?父親としての素顔に迫ります。

—お子さんは何人いらっしゃいますか?

私は子どもを男の子ばかり4人持っています。全員男の子ですから、ほんとに、はちゃめちゃでしてね。たとえば家の中は一杯壊れたままになっています。障子は紙がない状態のが、ポンとある。あばら家のような状態ですね。
食事なんかも本当に戦争ですから「誰が誰のおかずとった」と泣きわめきながらのご飯ですので、すごい生活をしています。

—ご家族との時間は?

基本的に僕は夜の帰りも遅かったり、不規則なものですから、朝ご飯だけは子どもたちと一緒に食べられるように気をつけています。

—教育環境として仙台は?

まず非常にのんびりしているということです。あとは公立主義なんですね。これは地方の都市はそうなんですけど、学校というのは県立高校があって、市立の中学校があって、そこを順番に行くというのが普通のことです。
だからむりな過度な受験競争はありません。ですので、子どもたちは比較的のびのびと高校卒業までは暮らすことができることが大きいと思っています。

あとは環境面では自然がすごく近くにあって、かつ町も近くにある。子どもが小さい時には、彼らはたとえば山の中で基地をつくって遊ぶということが普通にできるんですね。そういう環境がまだ残っている。
この環境を僕自身は、子どもの情緒の発達にとっては大きいと思っていますので、この町を離れたくないと思っている大きな理由ですね。

—子育ての方針を教えていただけますか?

私は、実は子どもが4人いて、上の二人と下の二人の育て方を変えてみました。
上の二人に関しては、私が自分の両親からされたことと同じことをやってみたんです。非常に厳しくしつけけることをしました。食事のマナー、言葉遣いが悪い時はお尻をはたくというところまできちっとやって厳しくしつけた。

一方で、下の二人に関しては今のトレンドでもあります「褒めて伸ばす」ということを挑戦してみました。なるべく叱らないようにして、うまくできた時は「すごいね、偉かったね」と褒めるようにした。

この二つの教育方針の違いなんですけど、私の中ではほとんど結論が出たなと思っていますが、下の二人には本当に申し訳ないと思いますけど、上の子たちのようにきちんとポイント、ポイントで叱りながら育てた方が真っ直ぐ伸びたなという気がしています。

—脳科学から見たしつけ法とは?

人と動物を一緒にすることに問題はあるかもしれませんが、たとえば動物に何かを教える時には、やはり報酬でものを覚えさせるよりも、罰でものを覚えさせた方が、早く正確に覚えられるんですね。

人間も動物ですから、しつけの部分に関しては、一番大事なところに関しては、私は「褒めて」というよりは、きちんとできなかった時に「叱る」ということが必要だと信じています。

でも一方で、褒めるというのは、人間ならではの方法で、脳の観点から見ると、褒められてうれしいという情動というのは、まさに前頭前野を使う感覚なんですね。
ですから極めて人間らしい子育ての仕方なんですけれど、果たして未熟な子どもたちにそういう人間ならではの高次な導き方で、どこまでついてこられるかということに関しては、多少個人の経験からは疑問を持っています。

しつけの問題というのは小さい時が重要だと思っています。
ただ小学生、中学生になっても、言葉遣いとか、人と相対する時にどう行動するかという人間のソサエティ、コミュニティの中での、人としてのあり方の問題というのは、僕はうまくいかない時はきちっと叱るべきだと思っています。
ただしこれは僕自身もそう育てられたんですけども、高校生、大学生になった時、一個の人間として認めてあげて、かつ彼らの人生だということを、親としてきちんと踏まえることが必要になってきますから、そういう意味では最初はたくさん干渉しながら、徐々に必要なところだけに絞っていって、最後は、ただ見守るだけという過ごし方がいいのかなと考えています。

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