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大学は相手の言うことをよく聞ける人材育成を(酒井 清 氏 / リコー取締役・専務執行役員/CTO、環境推進担当)

2007.03.28

酒井 清 氏 / リコー取締役・専務執行役員/CTO、環境推進担当

「ソリューション研究」国際シンポジウム(2007年3月27日、東京工業大学統合研究院 主催)パネルディスカッション「ソリューション研究に対する産業界からの期待と展望」から

 1990年ごろの米国はひどい状況にあり、大企業は「研究なんてやめてしまえ。キャッシュフロー(自己資金)を潤沢にして、必要な技術は買いに行けばよい」という姿勢だった。米国のことをまねすることの多い日本も、こうした米国モデルは幸か不幸かまねしていない。日本のモデルをつくる必要がある。日本モデルができれば、企業も長期的視点で(研究開発を)やらざるを得ない。大学ももっと(社会に)下りてきて、企業を理解してほしい。

 新しいソリューションを生み出すためには、企業と大学とのコミュニケーションが重要だ。企業の言葉分かりにくいと感じるかもしれないが、コミュニケーションのできる人材を、大学の方でも育てていただきたい。

 ポスドクをなぜ企業が雇わないのか、とよく言われる。しかし、大学と企業の人材交流がうまくいかないのは、それぞれのカバーするところがあまりに違いすぎるからだ。企業や社会への理解を深める人が大学に育ってくれれば、企業の人材も大学で活きることになる。大学に求めるのは、プロジェクトのリーダーになり得る人というより、相手の言うことをよく聞ける人材だ。自分の研究にだけ没頭する人ではなく。失礼ながら、現実にはそういうタイプの人が多いのではないだろうか。

酒井 清(さかい きよし)氏のプロフィール
1970年東京工業大学大学院工学研究科修士課程修了、リコー入社、89年画像事業本部/画像技術研究所長、96年経営企画室長、同年取締役、99年研究開発本部長、2002年常務取締役、05年常務執行役員、06年から現職。

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