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水不足で菜食主義者が増える可能性も(アンドルー・マシューズ 氏 / アジア太平洋気候変動研究ネットワーク科学委員会 議長)

2007.01.15

アンドルー・マシューズ 氏 / アジア太平洋気候変動研究ネットワーク科学委員会 議長

第2回アジア水循環シンポジウム(2007年1月10日、東京大学 主催)講演から

アジア太平洋気候変動研究ネットワーク科学委員会 議長 アンドルー・マシューズ 氏
アンドルー・マシューズ 氏

 50年、100年後を考えると、水不足のため世界の食事が変わり、ベジタリアン(菜食主義者)が増えてくるのではないか。動物のタンパクを摂るということは、家畜を育てるためにそれだけ水を必要とするということ。ベジタリアンに比べ、非ベジタリアンは、2倍以上の水を必要とするからだ。

 地球上に水はたくさんある。しかし、淡水、それも利用可能な水はそのうちのわずかで、水不足は深刻になりつつある。アジア太平洋気候変動研究ネットワークは、21カ国で構成されているが、この中で特に中国の世界経済、近隣諸国に与える影響は大きい。

 例えば、中国はずっと大豆を自給自足していたが、今や世界の大豆の43%を輸入している。中国では灌漑(かんがい)が重要になったためで、(水を大豆生産に回せなくなったという)大きな転換だ。つまり、大豆の輸入は、実質的には水のトランスポート(輸送)である。ブラジルが、この大豆(水)のギャップを埋めている。

 水不足は、大都市の増加、都市の膨張によって、より深刻になっており、水を巡って激しい戦いがある。南アジアではかなりの水を地下からくみ上げており、地下水をくみ上げる井戸の数が、1970年から2000年の間に100万から2000万に増えている。水をどうやって確保するか、水資源の価値を上げるにはどうするか、が重要な課題になっている。

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