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透明性確保し原子力活用を(モハメド・エルバラダイ 氏 / 国際原子力機関(IAEA) 事務局長)

2006.12.01

モハメド・エルバラダイ 氏 / 国際原子力機関(IAEA) 事務局長

講演会(2006年11月30日、日本原子力研究開発機構、東京工業大学 主催)から

 世界では電力を使用していない人たちが16億人いる。24億人が、煮炊きをするのにバイオマス燃料による伝統的方法を続けている。

 今後、これらの人々へも電力を供給するとなると、現在の消費動向で予測すると、2030年に世界の電力需要はいまより53%増えることになる。2006年現在、世界の原子力発電は30カ国で442基あり、総発電容量は370ギガワットと総発電電力量の16%を占めている。原子力発電コストのうち、燃料コストが占める割合は15%と低いので、世界各地に供給するのには適している。

 原子力が唯一の解決策ではないが、エネルギー問題を何とかすれば、過激主義を防ぐなど、今世界で起きている紛争の多くは解決できる。単に生活水準を上げるという効果だけではない。

 ただ、原子力も絶対の安全性がある世界ではない。リスク(危険)とベネフィット(恩恵)の双方を理解してもらうために、正確で分かりやすい情報を示し、透明性を確保することが重要だ。

モハメド・エルバラダイ 氏プロフィール
1942年エジプト・カイロ生まれ、カイロ大学で法学士、ニューヨーク大学で国際法の博士号取得。エジプト外務省、ニューヨーク、ジュネーブの国連エジプト政府代表部、ニューヨーク大学助教授、IAEA法律顧問などを経て、97年から現職。2005年IAEAとともにノーベル平和賞受賞。

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