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iPS細胞でサルの心筋梗塞を治療 信州大が成功

掲載日:2016年10月12日

信州大学などの研究グループが11日、サルの人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作った心臓の細胞を心筋梗塞のサルに移植して心臓機能を回復させることに成功した、と発表した。心臓病患者に対する再生医療研究を前進させる研究成果で、論文が10日付英科学誌ネイチャーに掲載された。

信州大学先鋭領域融合研究群バイオメディカル研究所の柴祐司(しば ゆうじ)教授(医学部附属病院循環器内科教授兼務)と京都大学物質-細胞統合システム拠点などの研究者による研究グループは、拒絶反応が起きにくいカニクイザルを選んでそのサルの皮膚からiPS細胞を作製。培養して心臓の心筋細胞に変化させた。次にこの心筋細胞を、心筋梗塞を発症させた別のカニクイザルの心臓に注射して移植した。その結果、移植された心筋梗塞のサルの心臓機能が回復した、という。

研究グループは、心筋梗塞のサルに一過性の不整脈が増える副作用があったため、臨床応用に向けこの副作用を減らす研究を進めることにしている。

カニクイザルは東南アジアを中心に生息する中型のサルで実験動物として使われる。今回研究グループが拒絶反応を起こしにくい免疫の型を持ったカニクイザルを選んで実験したのは、将来の臨床応用を想定し、移植したサルへの免疫抑制剤投与を少なくするため。

iPS細胞を心臓病患者に応用する再生医療研究は、大阪大学や慶應義塾大学などでも臨床応用を前提に進んでいる。慶應義塾大学の研究グループは、iPS細胞から高純度の心筋細胞を、大阪大学の研究グループはiPS細胞からシート状の心筋細胞を、それぞれ作製することに既に成功している。京都大学の研究グループは心筋細胞と血管などの細胞を重ねた「心臓組織シート」を開発中で、拒絶反応が少ない型の人のiPS細胞の備蓄も進めている。各研究グループとも臨床応用に向け安全性の確認を慎重に進めている。

図 研究成果の概要図(信州大学などの研究グループ作成・信州大学提供)
図 研究成果の概要図(信州大学などの研究グループ作成・信州大学提供)
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