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若手技術者の理数系基礎学力が低下 神戸大調査で判明

掲載日:2015年12月24日

国内大手企業の若手技術者の理数系の基礎学力が低下している-。高校での履修や大学入試制度の在り方を考えさせるこうした興味深い調査結果を、神戸大学社会科学系教育研究府の西村和雄(にしむら かずお)特命教授らの研究グループがまとめた。

調査は、東証1部上場の製造業9社の協力を得て、20代の若手技術者1,226人に、数学、理科基礎、物理の問題合わせて11問に解答してもらった。問題の多くは高校で習う初歩的なレベルで、中学入試でも出題されるレベル、という。

研究グループが、解答結果をまとめたところ、全問題の平均点は100点満点で56.7点。科目別では、数学が62.1点、理科基礎が64.7点、物理が最も低く34.8点だった。 学習履歴別では、3科目とも博士課程卒が一番高く、修士課程卒、大学学部卒、高専卒の順だった。また、入試タイプ別で解答結果をみたところ、一般入試組、AO入試組、推薦入試組の平均点はそれぞれ59.1点、53.4点、46.0点で、入試タイプ別ではっきりと差が出た。

これらの結果から、基礎的な問題でも解答できない技術者が多く存在して全問題の平均正解率が6割に達しないことや、入試タイプで差があることが判明した。調査結果の詳しい分析では、数学Ⅲの履修者は未履修者と比べて3科目とも平均得点が約12点∼約17点高かった。 物理履修者についても同様に未履修者よりも約13点∼約20点高かった。

こうした結果から研究グループは「技術者を対象にした調査でも数学Ⅲ未履修者が多く、理数学力を低下させる要因になっていることを示唆している。今後のカリキュラム改革で重要な意味を持っている」「理数系生徒に数学Ⅲ履修を義務付けることは、物理の学力を確保するために重要で、日本の技術力を維持する上で不可欠」としている。西村教授は「大学入試の多様化や入学後のカリキュラムに問題がある」と指摘し、「数学Ⅲや物理を学ばずに大学に入ってくる学生が増えている。機械工学の4大力学(機械力学、材料力学、流体力学、熱力学)が必修でない大学があるなど、大学のカリキュラムにも問題がある」と問題提起している。

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