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長寿と炎症、テロメアの密接な関係解明

掲載日:2015年8月6日

炎症と染色体の末端にある塩基配列の長さが長寿と深い関係を持つことが、超高齢者を対象とした慶應義塾大学と英ニューカッスル大学の研究チームによる大規模調査で明らかになった。

さまざまな副作用がある現在の抗炎症薬に代わる安全な代替薬が開発できれば、高齢者の生活の質を大きく改善し、さらに老化に伴って炎症が起こる理由を解明することで、新しい健康増進法の開発につながることも期待できる、と研究者たちは言っている。

慶應義塾大学医学部百寿総合研究センターの新井康通専任講師、広瀬信義特別招聘教授と英ニューカッスル大学のトーマス・グリニツキー教授らは、100歳以上の超高齢者(684人)とその直系家族、85-99 歳の高齢者、計1,554人を対象に、長寿に関係があると考えられる造血能(貧血)、代謝、肝機能、腎機能の働き、炎症と、細胞老化の指標とされるテロメア(染色体の末端にある塩基配列)の長さを調べた。

この結果、炎症の有無や程度を反映する血液中の生化学的指標である炎症マーカーの値が、100歳以上の超高齢者の直系子孫(血縁のある子供)では低く抑えられており、長寿者の中でも特に炎症マーカー値が低いグループは、認知機能と生活の自立をより長い期間保持しているということも明らかになった。

さらに、100歳以上の超高齢者と直系子孫はいずれもテロメアの長さがより長く保たれていることも分かった。テロメアは細胞が分裂するたびに少しずつ短くなるため、長さが細胞の老化を反映する指標と考えられている。実際の年齢が 80 歳台という直系子孫でもテロメアは、60 歳台の平均値ほどの長さを維持していた。

今回調べたのは白血球のテロメアだが、超高齢者のテロメアが長く保たれている理由について新井専任講師は、「免疫細胞の老化が起こりにくい」、「酸化ストレスの影響を受けにくい」といった可能性を指摘している。

健康的な食生活や運動、ストレス管理、社会支援など生活習慣の改善によってテロメア長の短縮を防げることが報告されている(注)。新井講師らは85歳以上の超高齢者を対象に詳細な食事摂取や運動習慣の調査を行っており、炎症を低く抑え、テロメア長を保つ健康増進法の開発を目指している。

(注:Lancet oncology. Volume 14, No. 11, p1112–1120, 2013)

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