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500~300万年前の最大海水面上昇10メートル程度

掲載日:2015年4月28日

 鮮新世(約533万年前~約258万年前)に起きた海水面上昇は最大で10メートル程度とみられる、という研究結果を東京大学大気海洋研究所などの研究チームが24日、発表した。

 鮮新世が注目されるのは、気温、海水温、大気中の二酸化炭素(CO2)濃度が現在より高く、予想される今世紀末の地球環境に似ていると考えられるため。東京大学大気海洋研究所の横山祐典(よこやま ゆうすけ)教授と山根雅子(やまね まさこ)博士課程学生(現・海洋研究開発機構ポスドク研究員)らと、同研究所の気候モデリング部門、国立研究開発法人海洋研究開発機構、国立極地研究所、東京大学総合研究博物館の合同チームは、鮮新世の地球環境をより詳しく知るため、東南極の氷床に着目した。

 東南極は、南極大陸を南北に走る南極横断山脈の東側の部分を指す。研究チームは東南極の氷床が解けて岩盤が露出した地域の岩石年代測定と氷床モデルを用い、鮮新世に東南極氷床の厚さがどう変化したかを推定した。この結果、鮮新世は現在よりも氷床が厚く、ウィルクス氷底盆地とオーロラ氷底盆地だけ氷床が大規模に解けたことが分かった。ただし、その他の地域で逆に氷床量が増加したことから、東南極全体では氷床の増減による海水面上昇への影響はほとんどなかった、という結論になった。

 鮮新世に海面の大幅な上昇があったことは、これまで既に研究者たちの一致した見解となっている。この時期に西南極とグリーランドの氷床の大部分が解けた、ということも同様だ。ただし、海水面の上昇については10~40メートルと予測値に大きな幅があった。さらに西南極氷床とグリーンランド氷床が全て解けていたとしても、世界的に海水準を10メートル上昇させるほどの量ではないことも分かっている。東南極の氷床がどれだけ解けたのか、あるいは解けなかったのかが、当時の海水面上昇値を割り出す鍵を握っていたことになる。

 東南極氷床の様子が解明できたことで、研究チームは「鮮新世の海面上昇が40メートルに上る可能性は極めて低く『気候変動に関する政府間パネル(IPCC)』で提唱されている変動幅見積りの下限である10メートルに近い可能性が示唆された」と言っている。

 一方、IPCCは温暖化の進行により今世紀末まで海水面がどれだけ上昇するかの予測を、2013年9月に公表した「IPCC 第5次評価報告書第1作業部会(自然科学的根拠)」の中で示している。それによると今世紀末(2081~2100年)の平均海面水位の上昇は「最も温暖化を抑えた場合」で26~55センチ、「最も温暖化が進んだ場合」で45~82センチとされている。

図. 氷床と気候の相互作用の模式図。
(a)は鮮新世を表し、(b)は現在を表している。鮮新世は温暖な時代で、全球的に水循環が活発であり、南極の降雪量が増加していたため、東南極氷床の厚さが厚かった。

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