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食品再利用目標値を食品製造業95%外食産業50%に-中央環境審答申

2015.04.08

 中央環境審議会は、食品ロスを減らすための新たな再生利用実施率目標値などを定めた方針を、7日、望月義夫(もちづき よしお)環境相に答申した。2019年までに食品製造業で95%、食品卸売業で70%、食品小売業で55%、外食産業で50%という目標値が盛り込まれている。

 農林水産省が2013年9月に公表した資料「食品ロス削減に向けて〜『もったいない』を取り戻そう!〜」によると、世界全体では農業生産から消費に至るフードチェーン全体で生産量の3分の1に当たる約13億トンの食料が毎年廃棄されている。世界全体の食料援助量(2011年)が約400万トンであることから見ても、膨大な量だ。日本では年間約1,700万トンに上り、このうち半分以上は飼料、肥料、エネルギーに変えて再生利用されている。しかし、本来食べられるのに再生利用されずに廃棄されてしまう「食品ロス」が年間、500〜800万トンもあるのが現状だ。2012年のコメ収穫量が約850万トンだから、これまた膨大な量といえる。

 中央環境審議会の答申は、生産者、再生利用事業者、消費者、食品関連事業者、国、地方公共団体それぞれが取り組むべき課題を挙げ、再生利用実施率目標値を達成するには関係者の連携も重要だ、としている。農林水産省によると、年間約1,700万トンの食品廃棄物中、飼料として再生利用される量が約200万トン、肥料・エネルギーとして再生利用される量が約170万トンある。中央環境審議会の答申は、飼料化を最優先とし、次いで肥料化、続いてメタン化などその他の方法、という再生利用促進法の優先順位を示した。

 また、発生量を抑制する具体的な取り組みとしては、賞味期限の延長と年月表示化、食品廃棄物の継続的な計量の実施、商慣習の見直し、フードバンク活動の活用、消費者の理解促進などを挙げた。

 研究開発を推進する必要も挙げ、「これまでに開発した食品循環資源の再生利用などにかかわる技術の普及に努めるほか、産学官の研究機関が連携して再生利用などをさらに促進するために必要な新たな手法の開発を促進していく」ことを国に求めている。

 食品ロスを減らすための現行の再生利用実施率目標値は、食品製造業85%、食品卸売業70%、食品小売業45%、外食産業40%となっている。環境省は、今後、答申案に基づく関係省令・基本方針案に対するパブリックコメントを求めた上で、6月末に関係省令・基本方針を公布するとしている。

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