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バイオエタノール生産コスト節減期待の酵母発見

掲載日:2015年4月6日

バイオエタノール普及のネックとなっている生産コストの削減が期待できる酵母を、龍谷大学と京都大学の研究者たちが見つけた。

ガソリンなど石油系燃料の代わりになるバイオエタノールは、現在、トウモロコシやサトウキビを原料にする生産法が普及している。しかし、食料や飼料として有用な資源を原料としているため、原料の高騰や食料不足につながる心配がつきまとう。食品廃棄物等の廃棄物系や、稲わら、間伐材等の未利用系のバイオマスを利用した方法の実用化が待たれているが、最大のネックが高い生産コストだ。

島 純(しま じゅん)龍谷大学教授、小川 順(おがわ じゅん)京都大学教授、谷村あゆみ(たにむら あゆみ)京都大学研究員らは、デンプンからバイオエタノールを効率よく作る酵母を京都大学構内の土壌から見つけ出した。食品廃棄物中に大量に含まれるデンプンを原料とすることができるので、食料や飼料と競合する心配はない。これまでデンプンからバイオエタノールを作り出すには、多糖分解酵素により多糖であるデンプンをグルコースのような単糖類に分解し、その上で酵母の助けでエタノールを生産する二段構えの工程が必要だった。

新しく見つかった酵母は、デンプンからエタノール生産までを一手に引き受ける能力を持つことが確認されたという。

研究者たちは、従来の方法に比べ生産コストの削減と生産工程の簡素化が期待でき、さらに食品廃棄物に限らずさまざまな未利用バイオマスからのバイオエタノール生産が期待できる、と言っている。

農林水産省が2012年に打ち出した「バイオマス事業化戦略pdfによると、日本の未利用分のバイオマスを全てエネルギーに利用すると、その資源量は、電力利用可能量で約220億 キロワット時(約460万世帯分)に相当するとされている。温室効果ガス削減可能量で見れば、日本の温室効果ガス排出量の約5.0%に相当するとの試算結果も示されている。

また、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が進める戦略的次世代バイオマスエネルギー利用技術開発事業では、未利用バイオマスからエタノールを作る「セルロース系エタノール革新的生産システム開発」が柱の一つになっている。

今回の新酵母発見は、国立研究開発法人科学技術振興機構の戦略的創造研究推進事業である先端的低炭素化技術開発(ALCA)の研究開発課題「未利用バイオマスを活用したバイオリピッドプラットフォームの構築」(研究開発代表者:島純教授)の成果として得られた。

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