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原発作業員の造血幹細胞採取は不適切 日本学術会議が見解

掲載日:2011年4月27日

日本学術会議東日本大震災対策委員会は、放射線被ばく事故に備えてあらかじめ自分の造血幹細胞を保存しておくことを勧めた造血細胞移植学会の声明に対して、「採取、保存は不要かつ不適切」という見解を発表した。

大量の放射線を浴びた場合の健康への障害の一つとして、白血球や赤血球などの血液の基になる造血細胞が破壊されてしまうことがある。実際に放射線治療を受けた患者などに対し、失われた造血機能を回復するための造血幹細胞移植が行われている。造血細胞移植学会は、福島第一原子力発電所事故で今後心配される作業員の高線量被ばく事故に備え、この治療法を予防に使うことを勧める声明 を3月29日に発表していた。

25日に公表された日本学術会議東日本大震災対策委員会の見解は、同会議の「放射線の健康への影響と防護分科会」と検討した結果として、福島原発の緊急対応と復旧作業に現在従事している作業員に実施できるよう事前に造血幹細胞を採取、保存することは不要かつ不適切としている。

理由としては、造血幹細胞移植がそもそも緊急被ばく時に最優先に行われるべき治療法とは言えないことや、臨床研究の段階にある治療法を今回のようなケースに適用することに対する医療倫理の問題、さらに安心感より不安感を作業者に与える懸念などを挙げている。

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