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26学会長が科学技術政策で共同声明

2010.05.03

 日本化学会など26の理工系学会の会長が、多様な分野に支給される基礎研究費の充実などを求める声明をまとめ、公表した。

 「科学・技術による力強い日本の構築-我が国の科学・技術の進むべき方向と必要な政策-」と題した声明は、「GDP(国民総生産)比1%以上の研究費確保」「研究資金の過度の集中の是正と多様な評価・価値観の導入」「博士課程学生に奨学給付金支給」など13項目の指摘、提言を盛り込んで、政府に具体的な措置を求めている。

 今回の声明公表は、昨年11月に国民の大きな関心を集めた事業仕分けで、科学・技術予算にも厳しい評価が相次いだことに対してアカデミズム側に急に危機感が高まったことを受けた動きだ。26の学会長は声明の中で、「科学技術全体の中・長期的展望を論ずることなく、財政運営の一側面からの効率性、短期的収益・成果のみで研究機関の予算、事業の仕分けを行うべきものではない」と、事業仕分けに強く反発している。

 また、現行の政策は一部の総合大学に研究機能を集中させるもので、国家としての研究力を逆に弱めていると批判している。

 声明によると、14、5年前には年、100万円あった教授、准教授の研究資金(校費)は、1999年から急激に減少し、2004年に国立大学が法人化されたころには70万円に、その後、毎年の運営費1%削減措置でさらに直線的に減少し、現在は年、約40万円に落ち込んでいる。審査によって配分先が決まる科学研究費も、03年ごろから採択件数はほとんど増加してなく、特に中小規模の大学では60%以上の教員が校費だけ、つまり年間約40万円で研究を続けざるを得なくなっているのが実態だ、としている。

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