国立極地研究所と茨城大学、千葉大学など22機関の共同研究グループは7日、千葉県市原市の地層「千葉セクション」を、約77万年前の地質時代区分境界を示す代表的地層(国際標準模式地、GSSP)に認定するよう国際学会「国際地質科学連合」に申請した。認定されれば地質時代の中でも名前がなかった約77万〜12万6千年前の1時期が初めて日本由来の「チバニアン(千葉時代)」と命名される見込みだ。
約77万年前のGSSPについては、イタリア南部にある2カ所の地層も認定を目指すライバルとされる。国際地質科学連合はGSSP認定条件と照らして申請内容を 精査した後に日、伊それぞれの申請者のいずれかに命名権を与えるとみられる。
研究グループは国公立の各大学のほか国立の研究機関や博物館、企業など22の機関の32人で構成された。同グループによると、「千葉セクション」は市原市の養老川沿いの崖に露出している。約77万年前に地磁気のN極とS極が反転したことを示す証拠となる火山灰(白尾火山灰)が研究、観察上良好な状態で残っているという。N極とS極は長い地球の歴史の中で不定期に反転を繰り返している。最後の反転が約77万年前とされている。
地球は約46億年の歴史を持ち、地質時代は地層の中から見つかった生物の化石などから推定される生物の絶滅や環境変化に基づいて「先カンブリア時代」「古生代」「中生代」「新生代」に大別されている。地質学の一番細かい分類では115に区分されている。
国際地質科学連合は地質時代の区分の境界を最も観察しやすい地層をGSSPとして認定、登録している。新生代の中で約77万年前は更新世の前期と中期の境界とされるがGSSPは未認定で約77万〜12万6千年前の時期の名前もなかった。多くの恐竜が生息、繁栄したことで知られる「ジュラ紀」はその時代の地層が研究しやすい状態で見つかったフランスとスイスにまたがるジュラ山脈にちなんで命名されている。日本が地質時代の初命名を目指すチバニアンは、ラテン語で「千葉時代」の意味という。
研究グループは、過去に地磁気の逆転が起きていたことは1920年代に京都帝国大学(当時)の日本人研究者により発見された、と指摘。「日本人が地質学の分野をリードしてきた背景も踏まえ、千葉セクションがGSSPに選定されることは、地質学だけでなく日本の科学史にも重要」などと認定に期待を寄せている。
関連リンク
- 国立極地研究所プレスリリース「千葉県市原市の地層を地質時代の国際標準として申請認定されれば地質時代のひとつが『チバニアン』に」