オーロラを連続高速撮像してこれまで観測された中で最速の明滅現象を発見し、その発生メカニズムを明らかにした、と国立極地研究所と東京大学、名古屋大学、京都大学などの共同研究グループがこのほど発表し、撮影した動画を公開した。極域の上空で見られるオーロラについては未解明なことも多い中で貴重なデータを提供する研究成果。
国立極地研究所の福田陽子(ふくだ ようこ)特別共同利用研究員(研究論文執筆当時東京大学大学院理学系研究科博士課程)と片岡龍峰(かたおか りゅうほう)准教授らの共同研究グループは、毎秒160フレームの撮影が可能な高速撮像カメラを使用して米アラスカ州上空でオーロラの連続観測を実施した。その結果、これまでの観測で報告されている「10分の1」秒周期の明滅だけでなく、「50分の1」秒や「80分の1」秒周期という高速の明滅現象もあることを発見した。
研究グループによると、オーロラにはゆっくりとゆらめく光のカーテンのような現象だけでなく、「ブレイクアップ」と呼ばれるオーロラの爆発現象が起きるとカーテンの一部で明るさや動きが非常に激しく変化する「フリッカリング」という明滅現象が見られることがあり、これまでの観測では最速でも「10分の1」秒周期だった。
オーロラは「太陽風」と呼ばれるプラズマの流れが地球の磁力線に沿って高速で降下して大気中の酸素原子などを励起(エネルギー転移)して発光すると考えられている。今回の研究成果について研究グループは、フリッカリングがこれまでの研究で考えられていたように酸素イオンだけではなく、水素イオンの影響も受けたプラズマの波動の一種(電磁イオンサイクロトロン波)により引き起こされていることを示している、としている。


関連リンク
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