日本国際賞の授賞式が23日、天皇、皇后両陛下を迎え、東京国際フォーラムで開かれた。
同賞は、理学分野の授賞対象を「物理学」「化学」「医学生理学」に限っているノーベル賞と異なり、科学技術者全般に授賞対象を広げ、人類の平和と繁栄に著しく貢献した人々に贈られるのが特徴。今年は、「資源、エネルギー、社会基盤」と「医学、薬学」が選考分野とされ、高橋裕(たかはし ゆたか)東京大学名誉教授(受賞業績:流域管理の革新的概念の創出と水災害軽減への貢献)と、セオドア・フリードマン 米カリフォルニア大学サンディエゴ校医学部教授(受賞業績:遺伝子治療の概念の提唱とその臨床応用)、アラン・フィッシャー コレージュ・ド・フランス教授(受賞業績:同)の3人に、吉川弘之(よしかわ ひろゆき)国際科学技術財団会長から賞状などが手渡された。
「日本はもとより、中国、欧米、中近東など世界の河川や水害の調査研究に基づき、治水政策、水資源の開発と保全事業を促進するためには、河川の全流域を上流から下流、河口付近の沿岸域に至るまで一貫して総合的に進めるべきだ、との概念を得た」。高橋氏は自身の研究生活を振り返り、「一般の人々の目には触れず、分かりにくいと思われるテーマを取り上げて、評価してくれた」と審査委員会と国際科学技術財団に謝意を表した。
フリードマン氏は「疾患を最も基本的な段階で攻撃することが可能になったことで、疾患の症状を管理するだけでなく、決定的な治療を生み出す手法が実現しつつある」と、自身が切り開いた遺伝子治療について明るい展望を示した。
一時、副作用という困難に直面したこともあるフィッシャー氏も「遺伝子治療は、十分なリスク対効果比をもって、増え続ける疾患に対応が可能」と語るとともに、「彼らの勇気、情熱、寛容さが、私たちの研究の原動力になっている」と患者、家族に感謝の言葉を捧げた。
授賞式では、3氏の受賞を称え、東京藝大シンフォニー・オーケストラの演奏も行われた。演奏されたのは、3氏がそれぞれリクエストした曲。フリードマン、フィッシャー両氏が選んだのはモーツァルト、ブラームスの交響曲で、高橋氏のリクエストによる演奏曲は、スメタナ作曲の「交響詩 モルダウ」だった。
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