科学技術振興機構は1日、独創性に富み、科学技術の源流に成りうる研究を支援する戦略的創造研究推進事業・ERATO型研究の新しい領域として、現在は合成できない複雑な構造の薬を全く新しい方法で創り出すことを目指す「触媒分子生命プロジェクト」(研究総括:金井求・東京大学大学院薬学研究科教授)など5プロジェクトを選び、発表した。
各プロジェクトは、研究総括が研究遂行にふさわしいと考える若手研究者を研究機関の壁を越えて集め、5年間という期限内に革新的な科学技術の芽、あるいは新しい研究の流れを生み出す成果を狙う。それぞれ最大12億円の研究費が支給される。
「触媒分子生命プロジェクト」以外の研究領域・研究総括と狙いは次の通り。
- 「バイオトランスポーター」(研究総括:秋吉一成・京都大学大学院工学研究科教授)
人体の必要な場所に、確実に薬剤やある種のタンパクを送り込むためのナノ(10億分の1)メートルレベルという微細なカプセルなどを開発 - 「酵素活性分子プロジェクト」(研究総括:浅野泰久・富山県立大学工学部教授)
新しい酵素を持つ微生物を探索し、安全で効率よいものづくりや診断法を開発 - 「全能性エピゲノム」(研究総括:斎藤通紀・京都大学大学院医学研究科教授)
ゲノムが修飾された状態にあるエピゲノムの制御機構をマウスなどの生殖細胞を使って解き明かし、生殖細胞の発生機構や病気の発症機構などを解明 - 「生体調和エレクトロニクス」(研究総括:染谷隆夫・東京大学大学院工学系研究科教授)
生体の中でもうまく馴染み、脳機能の解明やてんかん患者の治療などへの応用につながる新しいデバイスの開発