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曲げられる太陽電池で最高の変換効率

2008.07.17

 薄くて曲げられる太陽電池のエネルギー変換効率を飛躍的に高める技術を、産業技術総合研究所・太陽光発電研究センターの仁木栄・副研究センター長と石塚尚吾・研究員が開発した。

 仁木副センター長らが帝人株式会社の協力で、開発した太陽電池は、銅(Cu)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、セレン(Se)からなる半導体材料「CIGS」を用いている。CIGSの特徴は、光電変換層の厚さを数ミクロンと薄くできることから、曲がった壁面や構造物面への設置や持ち運びが可能な、軽量でフレキシブルな太陽電池への応用が期待されている。

 他方、CIGSはエネルギー変換効率を上げるために必要な不純物添加が難しいという技術的な課題があった。

 研究チームは、電極層を形成する際、安定なアルカリ化合物であるケイ酸塩ガラス層を基板上に形成するという方法で、この問題を解決した。この結果、フレキシブルなCIGS太陽電池としては世界最高のエネルギー変換効率を得ることに成功した。変換効率は、太陽電池セルのグリッド電極部分を除いた受光面積で算出される真性変換効率で、17.7%。12%以上の報告例はこれまで世界でも2、3例しかない。

また、帝人が基板材料として開発したポリマーは、ガラス基板上で形成でき、このポリマーフィルム上にCIGS太陽電池を作製した後、ガラス基板からフィルムを簡単にはがすことができるなど、製造工程面での長所も持つ。

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