レビュー

せっかくの機会にほかに伝えることは?

2010.04.15

 山崎直子さんの宇宙における活躍ぶりが連日、新聞、テレビ、ラジオで伝えられている。宇宙に対する関心は老若問わず大きいので、当然だろう。しかし、この機会に科学全体に対する多くの人々の興味と支援を高められないか、と考える人も多いのではないか。科学そのものの魅力に加え、科学がこの社会でどのような役割を持つのかといった観点からの報道がもっとあってもいいのでは、と。

 宇宙開発にかかわる人から、たまたま当サイト編集部に聞こえてきた声を紹介したい。

 「これまでの報道と違って、山崎さん夫妻の私的部分に偏っている感がする」というものだ。山崎さんが宇宙から家族あてにメッセージを送ったり、お子さんに頼まれた実験をやったなどといったニュースも、宇宙や科学を多くの人たちに身近に感じてもらうという意味はあるだろう。ただ、行政刷新会議の事業仕分け対象にされるなどこれまでと違ったプレッシャーを感じている宇宙開発にかかわる当事者としては、違った印象を抱く人もいるということのようだ。

 「多額の税金を投入していることを考えたら、宇宙飛行士の私的生活よりも、今回の飛行で大事なことはどんなことで、それが今後人類の発展にどのような恩恵をもたらすのかなど、国際宇宙ステーションを維持して行くことの必要性を広く国民にアピールするような記事も書いてくれないか」

 こうした声に対し、マスメディアにも言い分はあると思われる。そうした記事も出しているではないか、といった…。

 ニュースというのは、記事を書く人がいて、それを流す、放送する、載せると判断する人がいて日の目を見る。同時に、情報を提供する側の見識や工夫、さらに受け手の意向によっても大きく変わってくるのが、ニュースというものではないだろうか。

 や読者、視聴者もまた、報道のあり方には大きな責任を担っているとも言えそうだが…。

関連記事

ページトップへ