日本では関心がいまひとつか、という感じのバイオエタノールについて、読売新聞が16日朝刊の経済面に、特集記事を載せている。欧米やブラジルと、日本の取り組みの違いが分かりやすく紹介されている。この日早朝のラジオ番組「森永卓郎の朝はモリタク!もりだくSUN」(ニッポン放送)と、「森本毅郎スタンバイ」(TBSラジオ)が、この記事をもとに、そろってバイオエタノールを取り上げていた。
同日夜のNHKテレビの報道番組「クローズアップ現代」も、穀物高騰の危険をもたらす、という観点からバイオエタノール問題を取り上げていた。こちらはたまたまこの日が放送日だった、ということだろうが。
ここにきて、バイオエタノールに関心が集まっているのは、「トウモロコシなどの植物を原料としたガソリンの試験販売が、今月27日から首都圏50か所のガソリンスタンド(GS)で始まる」(読売新聞記事)ことが理由の一つになっているようだ。
試験販売される燃料中に含まれるバイオエタノールの比率は、3%。ただし、バイオエタノールを直接、ガソリンに混ぜるのではなく、いったん石油ガスと混合した「ETBE」と呼ばれる液体燃料にして、それをガソリンに混ぜる。
日本では、この混合方式をどうするかをめぐって問題が起きているという。
「ETBE方式を主張する石油業界と直接混合方式を主張する環境省が対立し、普及の障害となる可能性がある」というのだ。それぞれには当然言い分がある。
「品質劣化につながる水分の混入などを防ぎ、(混合は元売り段階で行うため)ガソリン税の脱税も防げる」(渡文明・石油連盟会長)
「(直接混合方式の)ブラジルや米国、カナダでも日本車が走っている。(直接混合に)技術的な問題があるとは思えない」(若林環境相)
もう一方の当事者である農林水産省はどう見ているか。「石油業界は元売りを頂点とする中央集権的な石油の流通システムを維持したいのが本音だ。環境省も業界との調整作業を怠ってきた」という農林水産省幹部の言葉を、記事は伝えている。
農林水産省は、「国産バイオ燃料の大幅な生産拡大」というバイオマス・ニッポン総合推進戦略会議の報告を2月27日に公表しているが、これについても政府内ではいろいろな受け止め方が、というような報道も当時あった。
昨年7月26日に開かれた第57回総合科学技術会議で、バイオ燃料技術について現状報告と議論が交わされている。会議の締めくくりとして議長の小泉純一郎首相(当時)が、次のように発言していた。
「先程、聞いたバイオ燃料は日本では少ない。力を入れているつもりだったが、これほど少ないとは思わなかった。EU全体の200分の1以下であり、アメリカと比べても20分の1。ますますバイオマスは石油高騰の時代なので重要で、余地があるということだ。環境にも良いし脱石油戦略を目指していかなければならない。これにはいろいろなものがある。菜の花、ヒマワリ、パーム油、大豆油、トウモロコシ、サトウキビ、天ぷら油まであるので積極的に進めなければならない。よろしくお願いしたい」(読売新聞記事の引用は東京版から)