13日の読売新聞「くらし教育」欄は米誌「ニューズウィーク」が選定した「世界の大学100校」で、東大がアジア勢のトップで16位に入ったことを紹介している。他は京都大29位、大阪大57位、東北大68位となっている。
まずはご同慶の至りだが、東大が英国・ロンドン大学や米国アイビーリーグの名門・コーネル大学より上位と聞いて、「そんなに評価高いの?」と疑問に思った人も多いはずだ。
ちょうど同じ日の毎日新聞「理系白書'06」の「頭脳争奪」シリーズで石倉洋子・一橋大大学院国際企業戦略研究科教授のインタビューが載っている。
「頭脳争奪戦に日本は参戦できていません。時代の変化についていっていないからです」
「日本の大学や学校は新学年が4月に始まり、日本語で授業をしている。これでは世界の優秀な学生はきません」
同シリーズは、東大を含む日本の大学の現状はとても「世界の100校」にランク入りしたと喜んではいられないことを伝えている。
ランキングもよく読むと、格付けの根拠はネーチャーなどの掲載論文数、有力研究者数、さらに図書館の規模だという。要するに"書類上"の「研究力」なのだ。
有力科学誌に論文が載ったからといって、書いた当人が世界から集まる優秀な学生を前にして英語で魅力的な講義ができるとは限らない。
ニューズウィークのランキングも、同誌の記者が実際にキャンパスに行き、教授や学生にインタビューし、研究室の現場や授業の実際を取材した結果をポイントとして加味していたら、全く別の順序になるに違いない。