レポート

科学のおすすめ本ー c-Japan宣言 情報を糧とした日本の未来ビジョン

2008.04.29

推薦者/サイエンスポータル編集委員

c-Japan宣言 情報を糧とした日本の未来ビジョン


ISBN: ISBN978-4-621-05376-8
 定 価: 本体760円+税
 著 者: 曽根原登 氏、東倉洋一 氏、小泉成史 氏
 発 行: 丸善

 情報通信技術(ICT)の進歩によって社会が便利になっているのを否定する人はいないだろう。他方「情報爆発」という言葉があるように、急激に増える情報の中で何が有用な情報といえるのか、またそれらをうまく見つけ出す方法がどんなものか、となると明確なイメージを描ける人も少ないのではないか。

 当然、情報を専門にする人たちにとっても、これは大きな問題で、その一つの方向と思われる新しい考え方を示した本が出た。情報学の専門家が集まり、ICTと情報学は何を目指すのかを議論した結果を、メンバーの国立情報学研究所教授、副所長にジャーナリストが加わってまとめた。

 c-JapanのCは、「格好いい」という意味のCOOLのCとされており、さらにCulture、Creativity、Collaborationの意味も含んでいると説明されている。それだけではなく、Contentを変える。その担い手はConsumerで、Citizenでもある。さらにCSI(Cyber Science Infrastructure)=最先端学術情報基盤のCまで含む…。と、幅広い意味が盛り込まれたこれからの日本のあるべき姿がさまざまな角度から論じられ、提示されている。

 「もっと心の豊かな社会を目指そうということに注力」(長尾真氏)。「デジタル・コンテンツもCultureとして保存する方法を実行していかなければ」(曽根原登氏)。「科学技術によって文化を増幅させていく」(坂内正夫氏)。「心の幸せと併せてやはり経済価値についても頭の中に入れておかなければ」(所眞理雄氏)。

 c-Japanのより具体的イメージを描くには、各章ごとについているこれら主要メンバーによる提言が役に立ちそうだ。

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