水島昇は、今、ライフサイエンスでホットな領域「オートファジー」の最先端を行くパイオニア研究者である。一見、線の細そうな水島のどこにそんなパワーがあるのだろうか。
医学部を卒業後、医療の現場で間近に「人の死」に触れた水島は、それまでの中途半端な気持ちを拭い去り、研究者への道を目指すことになる。
膠原病に注目して研究をしていたある日、一つの衝撃的な総説に出会った。そして、その著者、大隅良典先生の研究室に飛び込む決意をする。大きなチャンスを手にする第一歩だった。研究を始めて1年後にはネイチャー誌に研究成果が掲載され、さらには「さきがけ」に2度採択されるなど、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いである。
すべての実験は不完全であり、予期せぬアーティファクト(人為的操作による結果)が常に存在している。実験科学の仮説→検証作業の中で、実験研究者のプロとして最大限慎重でなければならない—。それが水島の研究哲学だ。
高校生や大学生に対しても、「理系に直接関係しないと考えがちな英語や国語を蔑ろにしてはいけない」と、メッセージを送る。
チャンスを確実に手中に収めてきた水島のようなサクセスストーリーを、貴方も作ってみませんか。
(科学技術振興機構 藤井健視)
・「さきがけものがたり-未来を拓く研究者たちのドラマとその舞台」(アドスリー発行、丸善 販売)から要約転載)