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《JST共催》「ロボットの多様性から科学と社会のこれからを考える」「サイエンスアゴラ in 福岡 ~このロボットがすごい!~」を開催

サイエンスポータル編集部

掲載日:2018年2月13日

「このロボットがすごい!フォーラム」と題し、第一線の若手研究者と高校生らが参加する対話型イベント企画「サイエンスアゴラin 福岡」が2月3日、福岡市科学館と佐世保工業高等専門学校が主催し、科学技術振興機構(JST)が共催して同科学館(同市中央区六本松)で開かれた。また2足歩行型やヘビ型など、さまざまな型と機能を持つロボットを展示して来場者にロボットを身近に感じてもらう「このロボットがすごい展」も3、4日の両日(3日は午後5時から2時間)に同じ科学館で行われた。

「サイエンスアゴラin 福岡」は、JSTが毎年秋に東京で開催している「サイエンスアゴラ」の連携企画。この企画は未来を担う高校生ら若い人と気鋭の若手研究者が対話・協働しながら「科学と社会のこれから」を幅広く多様な視点から考えてもらうのが狙いだ。今回は、「認知ロボティクス研究」の第一人者である浅田稔大阪大学教授による特別講演や講演を聞いた高校生と教授とのフリートーク、研究分野が異なる8人の研究者がペアを組む「クロストーク」などが行われた。会場には一般市民ら約200人が来場し、異分野の若手研究者による「科学と社会、そして人間」にまつわる真剣なやり取りを熱心に聞いていた。福岡市科学館の企画展示室で行われた展示会には2日間で2,700人近くの学生、親子連れらが来場。大学、高等専門学校、企業などが出展した13種類のさまざまなロボットを動かしたり触れたりしながら多様な機能を持つロボットを「体感」していた。

フォーラムと展示会の企画担当者は、多くの人が持っているロボットの一般的なイメージを払拭し、ロボットとロボット研究が持つ多様性を広く一般の人たちに示すことによって次世代のロボット研究志望者が増えることを期待した、という。企画には「日本ロボット学会ヒューロビント研究専門委員会」も協力した。

写真1 福岡市科学館内に置かれた「サイエンスアゴラ in 福岡 ~このロボットがすごい!~」の案内パネル
写真1 福岡市科学館内に置かれた「サイエンスアゴラ in 福岡 ~このロボットがすごい!~」の案内パネル

「ロボット研究は人文科学とも関連する学際的分野」

フォーラム「このロボットがすごい!」は3日午後1時に開会。総合司会は毎日新聞社科学環境部長の元村有希子さんが務めた。元村さんは九州大学の出身で学生当時は今回の会場となった福岡市六本松にあったキャンパスに通っていたという。当時よく話していたという博多弁も披露して会場を和ませた。「今日はロボットをいろんな方面から勉強し、知るいい機会になると思う」「研究者と社会の問題があるとしたら、研究者は(社会に)伝えたつもりでも実際に伝わらなくてはいけない。『サイエンスアゴラ』は(科学と社会をつなぐ)科学コミュニケーションの実験の場であり、科学コミュニケーションを考える上で『サイエンスアゴラ』とロボットはいい組み合わせだ」などと述べた。また「科学技術は国連の持続可能な開発目標(SDGs)」にそって進められようとしている」とSDGsの目的などを紹介。「皆さんは今日ロボット研究の最先端を知り、(ロボット研究のあり方を)自分の頭で考えて研究者に発信してほしい」と会場に語りかけてセッションが始まった。

写真2 総合司会の元村有希子さん
写真2 総合司会の元村有希子さん
写真3 特別講演をしている浅田稔さん
写真3 特別講演をしている浅田稔さん

まず大阪大学大学院工学研究科知能・機能創成工学専攻教授の浅田稔さんが登壇した。特別講演のタイトルは「AI×ロボットの未来社会はどうなる?」。浅田さんはロボット研究の分野だけでなく、赤ちゃんにまつわる学会の理事など異分野の多様な活動をしていることなどについて自己紹介。人工知能(AI)を活用した人型ロボットでサッカーワールドカップのチャンピオンに勝つことを目標にしている「ロボカップ」の活動にも触れて講演を始めた。

浅田さんは、イタリアのルネサンス期を代表する芸術家で、数学や建築、地理など幅広い分野の科学者でもあったレオナルド・ダ・ビンチを引き合いに、ロボット研究が機械、電子・電気、情報といった工学の分野だけでなく、神経科学や心理学、社会学、哲学といった幅広い自然、人文科学と関連する学際的な分野であることを強調した。その上で「ダビンチが今生きていたら必ずロボットの研究者にもなっていただろう」「私自身も学際的な研究を進めながら分野を超えて世界の中でどのように共生していくべきかを考えていきたい」などと来場者に語りかけた。

講演も佳境に入り、浅田さんはAI研究で注目されている「深層学習」(ディープラーニング)の可能性や課題についての説明を織り込みながら次のように述べた。「人間の知能の本質を見極めた上でロボットの知能を考えなくてはならない」「2045年に(人間文明に計り知れない変化をもたらす)『シンギュラリティ』(技術的特異点)が来ると言われている。45年かどうかは分からないがAIが何らかの形で人間の能力を超える可能性はある。可能性はあるが、ばく然と(どうしようかと)考える前に我々自身がその問題に対してどう(対応)したらいいかを考えることが先だ」「私が『日本赤ちゃん学会』の理事をしているのは、ロボットを賢くするために赤ちゃんから学ぼうという意味があるほかに、赤ちゃんの発達自身がミステリーなのでロボット工学の手法でこのミステリーを解こうという意味もある。そのため認知発達ロボティクスというアプローチを提唱してきた」。

「人間のことを知りたい」思いがロボット研究のベース

浅田さんが熱く語る約30分の特別講演も終盤に入った。赤ちゃんロボットやイタリア・ミラノのダビンチ博物館の学芸員の協力を得ながら作ったというダビンチのアンドロイドの映像をスクリーンに映しながら「ロボット、人工システムと人間が共生することが一番重要だ。共生することによって継続した世界が描けるだろう」などと強調して講演を終えた。

特別講演の後、文部科学省が指定する「スーパー・サイエンス・ハイスクール」でもある福岡県立城南高等学校の男女生徒4人が登壇した。2年生の男子生徒が「ロボットが人と話せるようになるとどのような影響があるか」と質問。浅田さんは、現在のロボットは会話するために必要な音声認識などのレベルはまだ十分でない、とした上で「最近のAIの発展をみているともう少し経てば会話は十分可能になるだろう。社会の需要がある介護の分野でも使えるだろう。超高齢化社会が来ると、人間同士の会話から人間とロボット、人工システムとの会話に代わっていく可能性がある。その場合(ロボットは)人間との差が生じる。その差を考えるとプラス面だけでなくマイナスの面も出てくるだろうがそのマイナスをいかにゼロに近付けてプラスに持って行くかは人間の知恵だ」と答えていた。

写真4 福岡県立城南高等学校の4人の男女生徒(中央の4人)
写真4 福岡県立城南高等学校の4人の男女生徒(中央の4人)

1年生の男子学生は「中学、高校の時にどんないきさつがあって人型ロボット研究の世界に入ったのですか」と尋ねた。この質問に浅田さんは「『鉄腕アトム』の影響はあったかもしれないが、ロボット研究を目指していたわけではなく、人間とは何だろう、というばく然とした認識があった。『人を知りたい』という思いがその後の(ロボット研究の)ベースになっている。自分が好きなことをやると自分では文句が言えないから自分を上げる(高める)ことができる。好きなことをやってください」。

2年生の女子生徒の質問は「赤ちゃんの学会の研究で役立ったことは」。「赤ちゃんは(周囲から)受け身でなく、胎児の時も含めて環境と相互作用しながら学んでいることが分かった。ロボットの知能を考える上でロボット自身が考える設計にするための参考になった。いろんな分野の研究者と議論できたのも楽しかった」が答えだった。

もう1人の女性生徒が「AIが人間に勝つかもしれない分野と人間に勝てない分野は」と質問した。答えは「AIが得意なのは囲碁や将棋のようにルールがある分野。AIはランダムに探索するから得意。得意でないのは介護の世界のように(介護する側と介護される側との)相互の『あうんの呼吸』が求められる分野だ」。浅田さんの分かりやすいていねいな答えに4人とも納得したようすだった。

異分野研究者2×4でクロストーク

続いて「異分野クロストーク」が始まった。研究分野がまったく異なる8人の若手研究者が4組のペアをつくって意見交換や議論するというユニークなクロストーク。どのペアも1人は何らかの形でロボットに関わる研究者で、異分野の研究者との対話や意見交換を通じてロボットの可能性やロボット研究の面白さ、課題などを浮かび上がらせて社会に発信しようという試みだ。進行役(ファシリテーター)は佐世保工業高等専門学校(佐世保高専)電子制御工学科講師の槇田諭さん。槇田さんは「遠隔操作テレプレゼンスロボット」と呼ばれるタブレットから操作して移動もできるロボットを使った科学コミュニケーション活動をしている。

クロストークはいずれも、2人の研究者が自己紹介を兼ねて簡単に自分の研究を紹介することから始まった。持ち時間はそれぞれ30分弱。

写真5 松村礼央さんと森田藍さん
写真5 松村礼央さんと森田藍さん

最初の「クロストーク1」はロボットとのコミュニケーションを研究するエンジニアと獣医師のユニークな組み合わせだ。2人は「karakuri products」代表取締役でエンジニアの松村礼央さんと大牟田市動物園の獣医師森田藍さん。

松村さんは現在、コミュニケーションロボットのためのインフラ開発に注力している。
森田さんは小さい時から動物好きで、ずっと獣医師を目指していた。関東の動物病院勤務を経て2年前に大牟田市動物園に転職したという経歴の持ち主。「私が務める動物園は『動物福祉』という動物にとって心身ともに幸福な状態を実現するために、さまざまな取り組みをしている」と語り始めた。現在、動物の健康管理のために必要な行動を、動物達に協力してもらいながら行う「ハズバンダリートレーニング」と、 動物のより良い生活のために飼育環境を豊かにする「環境エンリッチメント」の2つを実践しているという。

松村さんは、以前所属していた研究所で関わったロボットが買い物のサポートなどをする「人と人をつなげる」ロボットだった話を紹介。森田さんの動物園とロボット研究の仕事を関連付けて「森田さんの仕事は野生である動物と人との接点を設計する点でコミュニケーションロボットの設計と共通点がある」と話し、「ロボットを社会に導入する場合は(ロボットが導入される社会の)全体をグランドデザインすることが大切だ。ロボットは高価なものなので人間の価値を高めるためのロボットでないと話にならない」と強調していた。

「テクノロジーが進歩しても身体の需要性は変わらない」を共有

次の「クロストーク2」には新しい発想と技術で義足の研究開発をしているエンジニアとバーチャルリアリティ(VR)専門家が登壇した。Xiborg代表取締役社長の遠藤謙さんと九州大学大学院芸術工学研究院コンテンツ・クリエーティブデザイン部門准教授の上岡玲子さんだ。

遠藤さんは日本の大学の修士課程を修了した後に渡米。米マサチューセッツ工科大学で人間の身体能力の解析や下腿義足の開発に携わり、2014年に起業している。「私は足(脚)に興味がある」と語り始め、「2002年に福岡ドームで開かれたロボカップで自分の準備した人型ロボットがまったく動かなかった苦い思い出がある」と言って会場を笑わせた。また義足について「ロボット化して人間の動きに近いものを作ることを目指して研究している」「人間の体を再現するために人工物をそのまま使ってしまうと重くなったり大きくなったりするのでいかに小さくするか(の研究を)頑張っている。まだまだできないことも多いが、基本的に人間に興味を持ってやっている」。一般的な義足だけでなく2020年の東京パラリンピックに向けて選手に使ってもらえる板バネの研究にも力を注いでいるという。

上岡さんは2つの大学大学院で先端学際工学などを幅広く学んだ後、現在はバーチャルリアリティやウェアラブルコンピューターなどの研究をしている。「バーチャルリアリティとは『仮想現実』と訳すのではなく『現実をより掘り下げる学問』と理解してほしい。学生の時から人間にコンピューターを装着したらどういうことが起きるかとか、知覚や記憶といった人間の主観を記録することなどに興味があった。人間のエモーションを定量的に見ていきたい」という。

槇田さんが「2人は人間の能力をテクノロジーで(人工的に)実現することにより人間の本質を考えている点で共通しているのでは」とコメント。遠藤さんも「考え方は近いと感じた」。2人のやり取りは、テクノロジーが大きく進歩した後に人間にとって身体の重要性は増すのか増さないのか、という哲学的なテーマに及んだ。2人とも「テクノロジーがどんなに進歩しても、人間は精神性(を持つ存在)だけでは生きていけない」との考え方を共有したようだった。

会場の若い人に向かって遠藤さんは「今の大人が考えている社会はこれから時代遅れになる。デジタルネイティブの時代になった時に私自身も付いて行けるかと思う。何が本質かを考えてほしい」。上岡さんも「『優秀さ』の考え方が変化している」と、変化が速い時代にあって自分で観察し自分で学ぶことの大切さを強調していた。

写真6 遠藤謙さんと上岡玲子さん
写真6 遠藤謙さんと上岡玲子さん
写真7 児島諒さんと平松千尋さん
写真7 児島諒さんと平松千尋さん

「クロストーク3」は産業用ロボットの研究者と生物の視覚や多様性の研究者のペアで進められた。三菱電機(株)先端技術総合研究所研究員の児島諒さんと、上岡さんと同じ研究院でデザイン人間科学部門助教の平松千尋さんの2人だ。

児島さんは企業の研究者として産業用ロボットの作業高度化の研究開発を続けている。「産業ロボットは基本的に工場の中で人の代わりに作業してくれるロボット」と説明した上で「これまでの産業ロボットはいつ、どこに、どのようなロボットが、どのように置かれているかはっきりしていた。しかしこれからは自由度が高い環境でも活躍できるロボット(が求められると思い)研究をしている」という。

平松さんは小さいころは「自分と他人の違い」が気になる少女だったが、成長して生物進化や多様性を学ぶ中でそうした違いは当然だと思うようになったという。現在霊長類などの知覚の多様性に着目した研究を続けている。

児島さんは「平松さんの話を聞いて2人の共通テーマは『個性』だと思った」。その上で「これからの生産現場を考える上では、ロボットの個性(特徴)は何か、という見方が必要。ロボットの個性とは、例えば人と違って、疲れないこと、重いものを運べること、、、などが言える。人の置き換えいう発想だけでなく、ロボットの個性と人の個性を理解して、お互いが補いあえるような最適なものを作っていきたい。」「ロボットは多くの分野が複合している。いろいろな個性を持った研究者がつながったら面白いロボットができると思った」などと発言した。トークの終わりに平松さんは「ロボット研究に限らず、何か興味があることを研究していれば、将来ロボットがより身近な存在になった時に何らかの形でロボット研究に携わる機会は増えていくと思った」と感想を述べていた。

「体感的理解」が大切

最後の「クロストーク4」はロボット工学研究者と理科教育専門家のペアで、東北大学大学院情報科学研究科准教授の多田隈建二郎さんと宮崎国際大学教育学部児童教育学科助教の坂倉真衣さんが向き合った。

多田隈さんは東京の大学の大学院で工学を学んだ後、東北大学で「全方向移動・駆動機構」など、ロボットのメカニズム(機構)の研究開発を続けてきた。現在は大学がある仙台市にいるが熊本県出身で「ロボットの機構の研究は3度の飯より好き」という。

坂倉さんは九州大学の農学部で学び、大学院では感性学と呼ばれる学問を学んだ。現在宮崎県の大学の小学校教員養成課程で理科教育・環境教育を担当している。坂倉さんによると、感性学とは、さまざまなものについて「使い勝手」などを使い手の立場からアプローチする学問。科学コミュニケーションとも関連があり、サイエンスコミュニケーター養成講座を受けたこともあると自己紹介した。「子供のころに自然と触れ合った体験が体の中にはっきりと残っている」。そうした体験は子供によって異なるため、カリキュラムがない学習環境の中で子供たちの多様な体験とどのように関わるかを考え続けているという。

写真8 多田隈建二郎さんと坂倉真衣さん
写真8 多田隈建二郎さんと坂倉真衣さん

2人の話を聞いていた槇田さんが「書くことが研究を進める中で鍵になるのではないか」と問いかけた。多田隈さんは熊本県で電車通学をしていたころ、車内で何らかのメカニズムに関して思い付いたことをメモにしていた経験談を紹介。「感覚的に理解することはあるが鉛筆で書くことで理解が深まることがある」。坂倉さんも「子供たちとスケッチなどをしていると描くことでその現象に留まることができる。実物とつながり続けることができる」と力説した。多田隈さんは、人に伝える手段としては言語化が重要だが最初に理解する時は直感やひらめきが大切、と指摘する。「ロボットを作る上では実際に触って体感的に理解する『可視化』を重視している」。若い2人の研究者に共通するキーワードは「体感的理解」のようだ。

フォーラムの最後にこの日の登壇者全員が舞台に上がって「全体ディスカッション」が始まった。総合司会の元村さんが会場からの質問を受け付けると城南高等学校の男子生徒が「人間とロボットはどう関わっていったらいいのか」と問いかけた。

ロボットとのコミュニケーションを研究している松村さんは「ロボットの研究をしている中で人を見ている。なぜロボットを社会に導入したいかというと、ロボットが人と人との接点を作っていってほしいから。人と人が深くつながるためにロボットがきっかけを作ってくれると嬉しい」。

産業ロボット研究者の児島さんは「産業ロボットができることを増やしたいと思っているが、それは人がやることを奪うことではなく、人にしかできないことや人って何だろうということを考えることになるから」。教育現場にいる坂倉さんは「電子教科書などの電子媒体が登場して(それに対し)教師がマイナスのイメージを持ったり、教師の役割って何だろう、と考えることがあった。(クロストークに参加して)ロボットは人間とは何かを考えるきっかけになるし、電子教科書のようなものを使って教師は最後に何ができるかを考えることできると思った」とコメントしていた。

この後も会場から素朴な質問やロボット研究の本質を突く鋭い質問が相次いだ。どの登壇者も分かりやすくていねいに答えていた。どの質問も登壇者が研究者として日ごろから考え、自問自答している問題と重なっていたようだった。

写真9 勢揃いした登壇者。右端はクロストークで進行役を務めた槇田諭さん
写真9 勢揃いした登壇者。右端はクロストークで進行役を務めた槇田諭さん

13種類のロボットが勢揃い

「このロボットがすごい!展」は福岡市科学館の3階にある企画展示室で行われた。13種類のロボットが出展したが、それぞれ型や機能は異なっていた。女性型など、人を模したロボットや災害時に活躍する全方位移動ロボット、「廃炉創造ロボコン」に参加したロボットなど、さまざまなロボットが勢揃いした。この中にはフォーラムのクロストークセッションに登壇した東北大学の多田隈さんや司会・進行役を務めた槇田さんらが携わったロボットもあり、自ら来場者にていねいに説明していた。

展示会は、フォーラムが終了した3日午後5時に開場した。開場と同時に入り口付近で待っていた親子連れらが会場内に入った。会場中央の広いスペースを占めたのは佐世保高専と北九州工業高等専門学校(北九州高専)の「高専ロボコン」だった。2校は昨年の「高専ロボコン2017」に出場している。対戦相手のロボットに付いた風船をより早く割るデモンストレーションが何度も行われた。遠隔操作するのは両校の生徒。どの対戦もあっという間に勝負が決まり、その度に周囲の来場者から拍手が沸き起きていた。

この「高専ロボコン」のスペースを囲むように12種類のロボットのゾーンが並んだ。佐世保高専の槇田さんらは、タブレットやパソコンから遠隔操作できる「テレプレゼンスロボット」を出展。車輪を移動させ、相手の顔を見ながら話ができるのが特長で、来場者は端末を操作しながら「ロボット体験」を楽しんでいた。長崎総合科学大学が出展した「フリスビー乱舞ロボット」も人気を集めた。このロボットはNHKが主催する「学生ロボコン」に2年連続15回出場している。扇を的に向かって飛ばす伝統ゲームの「投扇興」を模したフリスビーを飛ばす競技にも多くの親子連れが歓声を上げていた。

東北大学の多田隈さんらは、災害時などでの活躍が期待される「レスキューロボット」の機構や駆動メカニズムを紹介していた。また電気通信大学は1メートルの段差や階段を登れる「ヘビ型ロボット」のデモンストレーションを披露。段差を登る技術は一般の人が考える以上に難しいという。ロボット胴体に「センサ」を組み込んで障害物も乗り越えることができる仕組みだ。災害現場を含めた幅広い活用が期待されている。

このほか、小型2足歩行の女性型ロボット(真広・テクノロジー)や廃炉創造ロボコン(旭川工業高等専門学校)、6脚作業移動ロボット(山形大学)、VRラジコンシステム(広島大学)、子供アンドロイドロボット(大阪大学石原尚氏ら)、2足歩行ロボットバトル(九州ロボット練習会)、「国際物流ロボコン」参加ロボットの映像(三菱電機MC2/中京大学・中部大学)、義足展示と模擬体験(今仙技術研究所)のブースも並んだ。

2日間の来場者は2,700人近くを数え「ロボットとロボット研究の多様性を知ってもらいたい」という企画者の狙いは成功したようだ。

写真10 さまざまなロボットの展示ブース
写真10 さまざまなロボットの展示ブース
写真11 佐世保工業高等専門学校と北九州工業高等専門学校の「高専ロボコン」
写真11 佐世保工業高等専門学校と北九州工業高等専門学校の「高専ロボコン」
写真12 九州ロボット練習会による2足歩行ロボットバトル
写真12 九州ロボット練習会による2足歩行ロボットバトル
写真13 電気通信大学のヘビ型ロボットのデモンストレーション
写真13 電気通信大学のヘビ型ロボットのデモンストレーション
写真14 旭川工業高等専門学校の廃炉創造ロボコン
写真14 旭川工業高等専門学校の廃炉創造ロボコン
写真15 山形大学の6脚作業移動ロボット
写真15 山形大学の6脚作業移動ロボット

(サイエンスポータル編集長 内城喜貴、写真1、4、6、8、9、12、14、は石井敬子撮影)

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