レビュー

国立研究開発法人がスタートしました

2015.04.01

科学技術振興機構 経営企画部

 平成27年4月1日より独立行政法人通則法(平成26年6月13日改正)が施行され、独立行政法人が新たに3つに類型化されます。その類型の1つである国立研究開発法人は、科学技術の水準の向上を通じた国民経済の健全な発展その他の公益に資するため研究開発の最大限の成果を確保することを目的としています。

 なぜ、国立研究開発法人という類型ができたのでしょうか。

 科学技術の研究開発は、計画通りに進むとは限らず、狙った成果が生み出せないことや狙っていなかった成果が生み出されることがあり、不確実性、予見不可能性という特性があります。また、生み出された成果が社会で使われる形になるまでに20年以上という長い時間がかかることもあります。科学技術をもとにイノベーションを興し、世界と競争して、日本の発展に貢献していくためには、このような研究開発の特性を踏まえた環境を整備することがとても重要になります。

 そのため、従来の独立行政法人の計画通りの仕事を効率的に行うやり方ではなく、国立研究開発法人として、研究開発の最大限の成果を確保するための環境整備を行うことになったのです。

 環境整備の具体的な内容としては、まず、国立研究開発法人(National Research and Development Agency)と名乗ることがあります。日本、世界に対して、日本を代表して研究開発を推進する組織であることを宣言します。
次に、国が国立研究開発法人に対して示す目標に、研究開発の成果の最大化の視点を踏まえたものが加えられることです。その目標に向かって研究開発を推進するためには、優れたプロジェクトマネージャーや研究者などを招へいする必要があることから、報酬や研究環境をより魅力的にできる柔軟な報酬体系や、良質な研究開発施設・設備を迅速に整備できる柔軟な調達ルールが設定されます。

 また、国立研究開発法人の評価は、成果に加えて、成果がどのように社会で使われることが期待されるのかや、成果を生み出すためのプロセスにも重点が置かれます。前述の通り、研究開発には、不確実性、予見不可能性という特性があり、長期間を要する場合もあります。このような中で、研究開発の成果の最大化を実現していくためには、目標に向けて当初に立てた計画の進捗確認をするだけでは不十分で、研究開発の進め方とそれによる進捗を評価し、フィードバックを繰り返していく必要があります。

 国立研究開発法人は31法人でスタートします。国立研究開発法人を中心に、大学・企業など様々な優れた能力を結集し、世界と競争して研究開発を推進することで、日本が抱える社会の課題を解決していきます。

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