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X線と光触媒でエネルギー生産は可能か

掲載日:2007年6月29日

有機物や水を分解する光触媒としてすでに幅広い用途を持つ酸化チタンが、X線をあてても光触媒として機能することを日本原子力研究開発機構、産業技術総合研究所、東京大学生産技術研究所の研究チームが初めて確認した。

酸化チタンの光触媒効果は、光を吸収することで酸化チタン中の電子が活性化することによって得られる。研究チームによると、1個のX線で約15個の電子を発生することが確認でき、光(紫外線では1個以下)の場合に比べて高い効率で光触媒反応が起きることが明らかになった。

この研究成果の意義について日本原子力研究開発機構と東京大学生産技術研究所のプレスリリース(28日)は次のように書いている。

「これまで可視光もしくは紫外光照射下のみで用いられてきた光触媒が、放射線照射下でも同様な作用を発現し使用できることを示している。この成果を利用することにより、放射線と光触媒を組み合わせた水の分解による水素の生成など新しいエネルギー生産方法の展開や、放射線の強い透過力と光触媒の強い酸化分解力を組み合わせた新たな放射線治療の開発など、放射線の利用範囲の大きな拡大につながる可能性がある」

少々気になるのは「放射線と光触媒を組み合わせた水の分解による水素の生成など新しいエネルギー生産方法の展開」というくだりだ。

太陽光と光触媒の組み合わせで水素エネルギーを、というのは多くの研究者たちが関心を持つテーマになっていると思われる。しかし、実用化が期待できる効率が得られないというのが現状ではないか。自然の太陽光(それ自体はただ)を利用しても実用化が難しいということだろう。光の代わりにX線を利用することで突破口が開けるかについて、どのようなことが考えられるのだろうか。

X線はただでは得られないだろうから、まずX線を作り出すのに一定のエネルギー(当然、費用も)が必要になる。X線1個から15個の電子を発生して触媒反応を起こし、水から水素を取り出す。それで最終的に投入した以上のエネルギーが得られれば万々歳、ということになるのだろうが…。

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