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募金活動で米国に大きく見劣りする英国の大学

掲載日:2007年5月2日

大学の運営を大きく左右する募金活動面で、英国の大学は米国に比べて水を開けられている―。

ロンドン生活の長いフリーランスコンサルタント、山田直氏の1日付最新レポート「英国大学事情2007年第5号・英国の大学の募金活動」が、英米の大学の違いを明らかにしている。

山田氏のレポートは、英国のチャリティー団体「サットントラスト」が昨年12月公表した調査報告書を基にしている。2004-05年度に、英国の大学が集めた募金額は4億5,000万ポンド(1,080億円)。同時期に米国の大学が集めた募金額、135億ポンド(約3兆2,400億円)に比べると、大きく見劣りする。米国は、1位のハーバード大学だけで、3億1,000万ポンド(744億円)もの募金額を集めている。

英国は、オックスフォード大学とケンブリッジ大学だけで、合計1億8,500万ポンド(約444億円)を集めてはいるものの、500万ポンド(約12億円)以上の募金を集めた大学は13校のみだった。多額の募金を集められる大学が、ごく一部に限られているという現実もある。

募金額とともに大学の基本財産である基金の額でも大きな差がある。ケンブリッジ大学とオックスフォード大学を合わせた大学基金額は約60億ポンド(1兆4,400億円)で、それぞれ米国のトップ10大学ランキングの7位と8位に相当する。ただし、米国の大学と太刀打ちできるのはこの両大学だけ。2005年度の米国の上位10大学の基金合計額が約540億ポンド(約12兆9,600億円)に対し、英国は上位10大学の基金を合わせても約69億ポンド(約1兆6,560億円)にとどまっている。

米国と英国に大きな差が生じている理由の一つとしてレポートがあげているのは、両国大学の投資戦略の違い。「1994年から現在までの、米国の大学基金額の成長率は、英国の大学の2倍以上。これは、広範囲の投資対象のポートフォリオを組んでいることも一因となっていると思われる。一方、大部分の英国の大学はロー・リスク、ロー・リターンの保守的な投資手法から脱却できていない状況にある」と分析している。

さらに、優遇税制の違いにも触れている。英国の寄付助成(Gift Aid)制度は、「所得税の免除は寄付者と寄付を受ける大学間で折半されることになっていて、高額所得者にとっては複雑な制度」。一方、米国は「寄付金を総収入から差し引くという単純な制度を採用しており、寄付者は税控除を全額受けることができ」、さらに「寄付者が生存中に定期的な収入と所得税控除を保障されながら、不動産や株をチャリティー団体に寄贈できる『Planned Giving』という制度」の存在も理由の一つに挙げている。

山田氏のレポートは日本の大学との比較には触れていないが、ちなみに今年創立130周年を迎える東京大学は、目標130億円の募金活動を実施中。同じく125周年を迎える早稲田大学は、200億円を目標に募金活動を行っている。

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