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感染症と自然災害の同時発生に備えを 避難所対策など防災関連学会が呼びかけ

掲載日:2020年5月1日

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が拡大する中、防災関連の58学会で構成する「防災学術連携体」が1日、地震や火山噴火、気象災害などの同時発生による「複合災害」への警戒を呼びかける緊急メッセージを発表した。「近年毎年のように起こっている自然災害が起きれば、医療許容量を超える感染者の爆発的増加の可能性が高くなるなど、極めて難しい状況になる」と、市民や行政などに向け注意を促している。

米国の患者から分離された新型コロナウイルスの電子顕微鏡画像(Credit: NIAID-RML)
米国の患者から分離された新型コロナウイルスの電子顕微鏡画像(Credit: NIAID-RML)

メッセージはまず、複合災害を軽減するため、市民が居住地のハザードマップや地域防災計画などを参考に、地震、噴火、河川氾濫や土砂災害などの危険性や避難の必要性を確認するよう求めた。災害時には感染の爆発的拡大を防ぐため、高齢者や体の不自由な人を含む被災者、自主防災組織、ボランティア、自治体職員、医療・福祉関係者らへの十分な配慮が求められるとした。

次に「ウイルス感染のリスクが高い現在、従来とは避難の方法を変えなければならない」と強調。公的避難所の対策として(1)避難所の増設、(2)学校の体育館だけでなく教室も使い、避難者間のスペースを確保し、ついたてを設置、(3)消毒液などの備品整備、(4)感染者、感染の疑いのある人の建物を分ける――などの措置を掲げた。

親戚や近隣との事前相談の上、自主避難先やビル上層階への避難も有効だとした。自宅に住み続ける「自宅避難」に備え、食料や水などの備蓄の必要も指摘した。自主防災組織や町内会が、避難所の利用予定者数などを市町村に伝えておくことは、3密(密閉・密集・密接)を避けるため重要という。

地震や津波、噴火、夏から秋にかけて多発する大雨、猛暑、台風などの気象災害の対策を、少しずつでも進めるよう求めた。梅雨明け後の熱中症対策も指摘。「熱中症により基礎体力が衰えると、ウイルス感染者の重症化のリスクが高まる」とし、健康維持の心がけや扇風機や空調設備の準備を促した。

メッセージの公表に合わせ、防災学術連携体の米田雅子代表幹事(慶應義塾大学特任教授)は、ホームページで公開したビデオメッセージで「現実に複合災害の危険が差し迫っている。被害軽減のため、できることから備えを始めてほしい」と述べている。

防災学術連携体は日本地震学会や土木学会など防災や減災、復興に関連する学会で構成する。多分野の参加により研究、情報交換を進めて災害に備え、緊急事態時には学会間の緊密な連携を実現しようと2016年1月に創設。今年2月には日本学術会議の協力学術研究団体に指定された。

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