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「新型肺炎は世界的な緊急事態」とWHO 日本では無症状感染者の出現で新たな局面に

掲載日:2020年1月31日

世界保健機関(WHO)は日本時間31日未明、新型コロナウイルスの中国を中心とした感染拡大の状況は「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」に当たるとする宣言を出した。スイス・ジュネーブの本部で現地時間30日に開いた3回目の緊急委員会の結論で、宣言が出されたことにより、世界各国での検疫態勢の充実など、感染拡大防止に向けた国際的な協力が一層強化される。一方日本国内では30日に2人の無症状感染者が確認された。今後の国内の感染拡大防止策は容易ではない新たな局面となった。

WHOは緊急委員会の結論を即座にホームページ上で世界に公表した。テドロス事務局長は、中国を中心に感染が広がっている国での感染拡大阻止だけでなく、医療制度が整っていない発展途上国への感染拡大を最大の懸案事項と指摘した。

WHOのテドロス事務局長(WHO提供)
WHOのテドロス事務局長(WHO提供)

緊急事態宣言の制度は2002~2003年にかけて重症急性呼吸器症候群(SARS)への世界レベルの対応が遅れたことを受けて2005年に改定の国際保健規則で新設された。これまでに、2009年に世界的に大流行した新型インフルエンザ、2014年に感染拡大したポリオ、2016年の中南米でのジカ熱、2014年と2019年のエボラ出血熱で宣言が出されている。

WHOは22日から2日間、2回緊急委員会を開いたがその時点の情報では中国以外の国で人から人への感染が確認されていなかったことや、中国国内の感染も家族などの濃厚接触者間が中心だったことなどから緊急事態宣言は見送っていた。このため今回の宣言に対しては国内外から「既に各国は緊急の対策を進めており、緊急事態宣言を出すのが遅すぎた」との声も聞かれている。

以前に開催されたWHO委員会の様子(WHO提供)
以前に開催されたWHO委員会の様子(WHO提供)

日本国内の感染も拡大している。厚生労働省によると、30日夜までに感染者は無症状の2人を含め14人。無症状の2人は中国・武漢市の空港から第1便のチャーター機で帰国した日本人で、緊急避難先の千葉県内のホテルから近くの病院に入院した。同省は「無症状の人が感染源になるリスクは低いが、その可能性は否定できない」として、これまで症状が出ていた人を主なチェック対象としていたが、今後は武漢市での滞在歴がある人も対象とする。新型コロナウイルス感染症対策本部長の安倍晋三首相は「水際対策のフェーズを一段引き上げる」と対策強化を指示した。

しかし多くの専門家は今後2次感染、3次感染が増えると感染ルートの追跡はかなり難しくなると考えている。ある当局者によれば、国内で感染が広がるかどうかは今後1週間から10日程度の状況が重要なポイントという。

厚生労働省などによると31日午前の時点で中国の感染者は9500人を、死者は200人を超えた。2003年に流行したSARSの感染者数を既に超えており、今回の新型肺炎の感染者数は1万人を大きく超える可能性が高まっている。

スイス・ジュネーブにあるWHO本部(WHO提供)
スイス・ジュネーブにあるWHO本部(WHO提供)
28日、中国・北京で会談するWHOのテドロス事務局長(左)と習近平国家主席(右)(WHO提供)
28日、中国・北京で会談するWHOのテドロス事務局長(左)と習近平国家主席(右)(WHO提供)
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