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尿のマイクロRNA検査でがんを発見 名古屋大など実用化目指す

掲載日:2017年12月21日

尿に含まれる「マイクロRNA」とよばれる微小物質を極細のワイヤ(ナノワイヤ)で調べて肺がんや膵臓(すいぞう)がんなど5種類のがんを発見する技術を開発したと、名古屋大学、九州大学、国立がん研究センターなどの共同研究グループがこのほど発表した。同グループは実用化を目指しており、採尿だけで主ながんの早期発見が可能になると期待されている。研究論文は米科学誌サイエンスアドバンシスに掲載された。

共同研究グループは、名古屋大学大学院工学研究科の馬場嘉信教授、安井隆雄助教のほか、九州大学先導物質化学研究所の柳田剛教授、国立がん研究センター研究所分子細胞治療研究分野の落谷孝広分野長、大阪大学産業科学研究所の川合知二特任教授らがメンバー。

マイクロRNAは、塩基数が20前後の短いリボ核酸。「細胞外小胞体」という細胞が分泌する小胞体に包まれており、細胞の種類に応じて特有のものが分泌されることで知られ、これまでに2000種類以上発見されている。共同研究グループは、大きさがナノメートル単位(ナノは10億分の1)の極細針のようなワイヤを使って尿に含まれるマイクロRNAを集める器具を作成した。これまでの検出法では尿20ミリリットルから300種類のマイクロRNAを検出するのが限界だったが、この器具では尿1ミリリットルから1000種類以上検出できることを確認したという。

この成果を受けて共同研究グループは肺、膵臓、肝臓、膀胱(ぼうこう)、前立腺のがん患者と健康な人の尿を調べてそれぞれのがんに特有のマイクロRNAを特定。それぞれのがん患者で増減しているマイクロRNAを発見し、新たな腫瘍(しゅよう)マーカーになる可能性が高いことが分かったという。

国立がん研究センターの落合分野長らは、血液から13種類のがんのマイクロRNAを調べる検査法を開発しているが、尿を使うことができればより簡単な検査法が登場することになる。

図 ナノワイヤを用いた尿中細胞外小胞体の捕捉とそこに内包されるマイクロRNA(提供・名古屋大学など共同研究グループ)
図 ナノワイヤを用いた尿中細胞外小胞体の捕捉とそこに内包されるマイクロRNA(提供・名古屋大学など共同研究グループ)
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